多子世帯を応援…福井県が高校授業料を完全無償化 扶養2人以上対象、第2子の保育料も

福井県庁

 福井県は8月31日、2023年度9月補正予算案を発表した。「日本一の多子世帯応援」と銘打った子育て支援策の制度拡充に向けた財源として50億円の基金を積み立てるなど、一般会計を166億円200万円増額した。扶養2人以上の多子世帯応援として来年度から、高校授業料の完全無償化や第2子(0~2歳)の保育料完全無償化など、杉本達治知事が2期目の公約に掲げた政策を実施する。扶養2人以上世帯の高校授業料の完全無償化は全国の自治体で初。

 知事選を踏まえた「肉付け予算(6月補正予算)」後の9月補正予算規模としては平成以降で最大。補正後の総額は前年度比3.8%減の5402億7400万円。9月4日開会の定例県議会に提案する。

 高校授業料の完全無償化は来年4月から実施。扶養する子どもが2人以上いる世帯が対象で、世帯年収910万円以上の所得制限を撤廃し、県立高校、私立高校の授業料を免除する。多子世帯で県内高校から県内の大学、専門学校などに進学する学生の授業料も一部減免する。

 0~2歳の第2子の保育料完全無償化は来年9月から実施する。世帯年収640万円以上の所得制限を撤廃し、保育料を免除する。0~2歳の第3子以降と、3~5歳児の保育料も既に県と国の支援で無償化されている。また、0~2歳の第2子以降を在宅で育児する世帯を対象にした月1万円の育児応援手当支給についても、世帯年収360万円以上の所得制限を撤廃する。

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 これらの制度拡充の財源を安定的に確保するため、前年度からの繰越金などを使って基金を積み立てた。杉本知事は31日の記者会見で「2人目の子どもからの支援が全国で一番手厚い。ゆりかごから子どもの巣立ちまでの一貫した支援制度を県内外に分かりやすく発信できるようになる」と述べた。

 このほか、7月の大雨災害の対応で、嶺北の県道や河川、農地などの復旧工事費に計約74億円を充てる。新型コロナウイルス禍や物価高に苦しむ事業者支援などに4億円を盛り込んだ。

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