北陸新幹線開業前の福井県、タクシー運転手の人材不足深刻 業界説明会で訴え「車はあるが人がいない」

タクシー運転手確保に向け、初めて開かれた業界説明会=8月28日、福井県福井市のハローワーク福井

 来年春の北陸新幹線福井県内開業が迫る中、不足しているタクシー運転手の確保に向けた業界説明会が8月28日、福井市開発1丁目のハローワーク福井で開かれた。県内5社が仕事の魅力や働き方、待遇などを説明。来場者は「新幹線開業で需要が増えそう」「いろいろな勤務形態があり自由度が高い」などと理解を深めていた。

 タクシー業界は、新幹線開業後に2次交通の一翼を担うほか、高齢者の運転免許返納の推進などもあり、運転手のニーズが高まっている。一方、県タクシー協会によると、県内の法人タクシーの運転手は905人(7月末時点)で平均年齢64歳。2016年時点の1252人から3割近く減っており、各事業者は深刻な人手不足に直面している。

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 こうした現状を受け、同協会と県が説明会を初めて企画し、未経験者を含め30~70代の男女15人が来場した。

 県交通まちづくり課の廣瀬貴之課長は「新幹線開業を控えタクシーはとても重要。福井県の魅力発信のためにもご協力いただきたい」とあいさつ。女性や副業者、U・Iターン者を対象にした就職奨励金(1人5万円)や、2種免許の取得費用補助といった県の支援策を紹介した。同協会の佐々木貞明専務理事は「タクシー業界は、車はあるが人がいない状況。非常に悩んでいる」と訴えた。

 この後、各社の担当者がそれぞれ登壇し、「お客さまに感謝され、社会に貢献できる」「努力次第で給料が上がる」「生涯現役で勤務可能。60~70代も多く活躍している」などとアピール。「道に詳しくなくても、カーナビがあるほか、会社にいる配車係に尋ねることもできる。女性でも心配ない」といった説明もあった。各社のブースで個別面談も行った。

 製造業から転職を考えているという男性(46)は、個別面談を終え「観光やビジネスでタクシーの需要が増えると思う。休日の融通も利きそうで、前向きに考えたい」。メーカーで再雇用で働いている男性(61)は「接客に挑戦してみたくて参加した。60歳を超えた人にとって、歩合制で稼げる可能性があるのは魅力的」と話していた。

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