進化する香港・西九龍。アジア最大級の新しい美術館へ行ってきた

海外旅行予約アプリ『NEWT(ニュート)』を運営する、令和トラベルでブランドやコンテンツなどを担当している向井が、実際に訪れた海外の街を紹介していく連載。ブランディングやカスタマーエクスペリエンスの観点から、個人的に感じたその街の魅力を深掘りしていく。

2023年4月、満を持して入境制限の緩和を発表し、観光客の受け入れを再開した香港。大規模な無料航空券の配布キャンペーンも開催され、今年の海外旅行先の候補に検討した方も多いのではないだろうか。

前回、香港を訪れたのは2018年だった。キラキラ輝く夜景、ワンタン麺の湯気と香り、街をしっとり濡らすような湿度、道路で存在感を放つ二階建てバス...。行ったことがある方ならきっとわかる「香港らしさ」を感じたくてうずうずしていた。

さらに、香港はこの数年もこれまでと変わらず、むしろ加速度的に進化し続けている。そのあたらしい魅力にも実際に触れたいと思い、2023年8月、5年ぶりに香港を訪れた。

新旧の「香港らしさ」を堪能した実に楽しい旅行だったのだが、今回はその中でもとりわけ感銘を受けた美術館について紹介したいと思う。わたし自身、アートの知識はほとんどない中で、いち観光客として存分に満喫できた印象深いスポットだった。

ヴィジュアル・カルチャー美術館「M+」

香港で進化が止まらないエリアの1つ、西九龍(ウエストカオルーン)。「西九龍文化地区」と呼ばれ、エンターテインメントやアートを満喫できるエリアだ。2022年7月には、900点以上の美術品を展示する、香港故宮文化博物館がオープンしたばかり。

M+から見えた香港故宮文化博物館

その西九龍で、ここだけは絶対行きたいとリストアップしていたのが、「M+(エムプラス)」という美術館だった。アジア初の世界的なヴィジュアル・カルチャー美術館として2021年11月に開館され、パリのポンピドゥーセンターやニューヨーク近代美術館(MoMA)に匹敵する美術館になることを目指しているという。

美術館といえば、絵画や彫刻などを想起する方も多いのではないだろうか。M+で見られるのは、それだけではない。展示されている絵画ももちろん素晴らしいが、もし現代アートに興味がなくても、「懐かしい!」や「こんな頃もあったんだ」という気持ちで楽しめる。

たとえば、絵文字について。動画でその変遷が表現されている。

日本の商業施設「PARCO」のポスター。そのヴィジュアルやコピーライティングは今でもたびたび話題になるが、当時のポスターもまた興味深い。

ほかにも、空間をぜいたくに使った作品からインテリアまで、見るも鮮やかな展示が繰り広げられている。

2022年11月12日から掲載日現在、開催中のエキシビジョン「Yayoi Kusama:Dots Obsession—Aspiring to Heaven’s Love」。草間彌生氏の大型作品も必見。海外からのファミリーやカップルも、ドットあふれる空間で鑑賞と撮影を楽しんでいた。

訪れた人が手紙を書いて飾ることで、アートに参加できるような展示も。アートがより身近に感じられる仕掛けが多くあり、今までにない「美術館体験」ができた。

美術館自体がエンターテイメント施設

M+は、美術館自体がエンターテインメント施設のようだ。そう感じたのは、インタラクティブな展示からだけではない。館内には、映画館、図書館、レストラン、カフェ、ショップなどが多数併設されているのみならず、香港らしいハーバービューまで楽しめる。

併設のカフェではコーヒーやスイーツなどを楽しめる。見た目も美しい絶品ケーキはぜひ試してみてほしい。わたしが訪れたとき、店内は満席。注文にも列ができていて、大人気だった。テラス席はハーバービューになっているので、天気が良ければおすすめ。

空間そのものにも魅了されるミュージアムショップ。ステッカーやキーホルダーなどお土産にもぴったりなものから、アートに関する書籍までずらっと並んでいる。

館内から見えるハーバービュー。窓から素晴らしい景色を見つつ、壁にはアート作品。ソファも用意されており、ゆったり過ごせる。なんともぜいたくな空間。

進化を続ける香港・西九龍

THE・香港を感じられるハーバービューと、続々誕生する新しい施設。西九龍はそれをまさに体感できるエリアだと思う。まだまだ工事中のエリアも多い。

西九龍からMTR(香港の地下鉄)で少し移動して、繁華街の尖沙咀(チムサーチョイ)へ行くとまた異なる景色が広がる。

尖沙咀のウォーターフロントから見た夜景

共通しているのは、新旧の香港の魅力が入り混じるエリアであること。きらびやかな商業施設が続々開業する一方で、街には見上げるほどの高いビルがぎゅっと立ち並び、飲食店では懐かしい味を堪能できる。

これからも香港はどんどん進化していくのだろう。訪れるたびに、新しい魅力と出会えるに違いない。

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All photo by Manami

寄稿者 Manami Mukai [(https://tms-media.jp/contributor/detail?id=38)㈱令和トラベル / 創業メンバー ブランド/カスタマーコミュニケーション担当

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