熱海土石流の警戒区域指定が解除 2年ぶり、ライフラインは未復旧

警戒区域の指定が解除された地元に立ち寄る住民ら=1日午前、静岡県熱海市

 静岡県熱海市で2021年7月3日に発生した大規模土石流を巡り、二次災害の危険があるとして同年8月以降2年超にわたり原則立ち入りが禁止されてきた同市伊豆山地区の警戒区域指定が1日、解除された。区域内外の往来や住民の帰還が順次始まる。

 ライフラインの復旧や住宅の修繕が完了しておらず、200人前後の避難者のうち本年度末までに自宅に戻るのは40人ほどにとどまる見通し。

 市は砂防ダムの設置と土石流の起点となった逢初川源頭部に残った土砂の撤去を警戒区域指定解除の条件にし、それぞれ今年3月と8月下旬に完了していた。

 斉藤栄市長は「復旧復興の節目であり一里塚だと思う。災害の爪痕はたくさんあるが人々の暮らしと土木事業が始まる中で、この景色も変わってくると思う。一日でも早く計画で示した形になるよう進めていきたい」と話した。

 土石流の発生は起点の土地で続いた違法な盛り土造成が一因とみられ、県警が業務上過失致死などの疑いで現旧所有者らの関与を捜査しているが、28人が命を落とした「人災」の原因や責任の所在の究明は進んでいない。

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