梅毒急増、過去最多64人 2023年の佐賀県内、前年累計超す 県「早期検査を」

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 性感染症の「梅毒」が佐賀県内で急増している。2023年の患者報告数が27日時点で64人となり、過去最多だった22年の累計数(60人)を上回った。コロナ禍による受診控えで20年は減少に転じていたが再び増加傾向となっており、県は「症状が消える時期があって感染に気づきにくいだけに、さらに広がる恐れがある」と早期検査を呼びかけた。

 患者のうち男性が58人、女性が6人。年代別で最も多かったのが20代(23人)で、40代(17人)、50代(12人)、30代(8人)と続く。男性を中心に急増している理由について、県は「一般的に性風俗店や出会い系アプリの利用で、不特定多数と性的な接触したことが一因と考えられる」と指摘する。

 梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌が原因で、他人の皮膚や粘膜との直接接触で感染する。感染から数週間で口や性器にしこりや潰瘍ができるが、痛みが伴わず自然になくなるという。数カ月後に小さなバラの花のような発疹が手や足裏、体に出るが、これもすぐにおさまる。早期に抗生物質で治療すれば完治するが、放置すると全身に菌が回って大動脈瘤(りゅう)が生じたり、歩行障害、認知機能が低下したりするという。

 妊婦が感染すると胎盤を通じて胎児に感染し、死産や早産、奇形などを引き起こすという。県健康福祉政策課は「気づかないうちにパートナーにうつすケースがあり、疑わしい症状があれば共に受診を」と呼びかける。県内の保健福祉事務所でHIV(エイズウイルス)とともに検査を行っており「無料、匿名で受けられるので、不安な方は利用してほしい」と促している。(大田浩司)

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