広島の現状は? 岐路に立つデパート業界

投資ファンドへの売却や相次ぐ閉店。そして、大規模な店舗の改装など、

岐路に立つのがデパート業界です。広島の2店舗を例に、その行方を探ります。

8月31日。営業終了を見届けようと、そごう広島店の新館の前には

多くの人が集まっていました。

■竹内嘉菜記者リポート

「午後7時40分です。今、従業員の方が2人出てきてお辞儀をしました。多くの人から愛されたそごう新館は、これで29年間の歴史に幕を下ろしました」

■訪れた夫婦

「普段より楽しくなるような買い物がたくさんできるところだったので

今日でなくなるのはちょっと寂しい気持ちになる」

■訪れた女性

「感謝の気持ちでいっぱいです。本当にそごうが大好きだったので悲しいし、どこに行っても思い出があるので涙が出そうだった」

そごう広島店は、8月31日閉館した「新館」の売り場の一部を

「本館」に移すなど、2025年春まで改装を続けます。

一方、福屋広島駅前店は9月1日から新たな形での営業です。

入居する商業施設「エールエールA館」への中央図書館の移転に伴い、

地下1階から9階まであった売り場を5階までに集約しました。

■福屋広島駅前店 鈩前浩二店長

「今までの婦人服売り場、紳士服売り場というのではなく、洋服もあれば食品もある、リビング用品もあるようなカテゴリーをミックスしてライフスタイルを提案するようなお店を目指しています」

広島初のサービスも導入しました。6階から3階に移った婦人用の肌着売り場では、専用の個室で客自らが全身を撮影。体の18か所のデータを測定出来ます。デパート離れが著しいとされる若い世代をターゲットに、客それぞれのニーズに合わせた商品の提案を目指します。

2026年度に開館予定の中央図書館は、建物の8階から10階に入居。

読書しながら飲食できるカフェスペースのほか、読み聞かせルームや子ども用のスペースなども新たに整備します。

さらに、2025年春にはJR広島駅の新しい駅ビルが開業。

歩行者専用の橋で福屋の2階部分と結ばれる予定で、客の利便性向上を図ります。

■福屋広島駅前店 鈩前浩二店長

「駅周辺として街になってにぎわいができることを期待しておりますし、

カジュアルもあり、ハレの日の商品もあり、1ランク上の日常をご提案したい」

福屋広島駅前店は順次改装をすすめ、2026年春に全館が改装を終えて

開店する予定です。

郊外への大型店進出やネット通販の拡大など、デパートを取り巻く環境は

大きく変化しています。そんな逆風に閉店や改装で対峙する、デパート業界の模索が続きます。

(2023年9月1日放送)

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