【ベルサイユ宮殿が競技場に!】2024年パリオリンピックの馬術競技

早くも来年に開催が迫ったパリオリンピック。2024年7月26日から8月11日まで、ブレイクダンスなどの新種目を含めた32競技が行われ、その中にはもちろん馬術競技も含まれます。

この記事では、オリンピックにおける馬術競技の歴史、競技種目や日程、パリオリンピックの見どころなどについてご説明します。

【馬術競技】オリンピックの歴史

古代オリンピック

古代オリンピックは紀元前8世紀から紀元後4世紀にかけて、古代ギリシアのオリンピアで4年に1回開催されていました。
最も古い記録は紀元前776年に開催されたもので、この大会を第1回と数えるのが一般的です。
祭神ゼウスが男神であることから女人禁制で、ギリシア人の男性しか参加することができませんでした。

古代オリンピックで紀元前680年から行われていた馬術競技は戦車競走(chariot racing、チャリオットレース)。
4頭または2頭立ての馬車で行う競走で、両端に急な折り返し地点があるコースを何周もするものでした。
折り返し地点のコーナーリングが選手の腕の見せ所で、衝突事故によって命を落とす危険も。

近代オリンピック

近代オリンピックは、1896年にギリシャのアテネで第1回大会を開催。

馬術競技は1900年のパリ大会で初めて採用され、障害馬術のみが行われました。
その後、1912年のストックホルム五輪から現在と同じ障害馬術、馬場馬術、総合馬術の3競技が行われるようになります。

1948年のロンドン五輪まで、参加できるのは男性の騎兵隊将校に限られていましたが、1952年のヘルシンキ五輪からは騎兵隊将校ではなくても男女ともに参加できるように。
オリンピック競技の中で唯一、男女の区別がない競技です。

金メダリスト西選手と愛馬ウラヌスの物語

日本がオリンピックの馬術競技に初めて出場したのは1928年のアムステルダム五輪。

次の1932年ロサンゼルス五輪の障害飛越競技で、愛馬ウラヌスと共に出場した西竹一選手が金メダルを獲得。
オリンピックのヒーローとして注目を集め、男爵だった西選手はアメリカ社交会で「バロン西」の愛称で人気となり、ロサンゼルス名誉市民に。
現時点まで、日本のオリンピック馬術競技の唯一のメダルです。

第二次世界大戦末期、西選手は陸軍中佐として硫黄島の戦いで戦死。
そのわずか1週間後、東京で余生を送っていた愛馬ウラヌスも死亡しました。
西選手が最期まで大切に身に付けていたウラヌスのたてがみは、1990年にアメリカで発見され、現在は北海道の本別町歴史民俗資料館に展示されています。

オリンピック競技種目とルールの概要

馬場馬術・障害馬術・総合馬術の3競技で、それぞれ個人・団体戦があり、合計6種目が行われます。
3組の人馬が1チームとなり、その合計成績が団体の成績になります。

馬場馬術(ドレッサージュ)

定型の馬場の中で、馬を正確に美しく運動させることを競います。
決められた経路で競う規定演技と、必須の動きを入れた構成を音楽に合わせて演じる自由演技があり、複数の審査員が採点します。

団体:予選(グランプリ、規定演技)の上位8チームが決勝に進み、決勝(グランプリ・スペシャル、規定演技)の成績だけで順位が決定します。

個人:予選は団体予選を兼ね、上位18人が決勝(グランプリ・フリースタイル、自由演技)に進み、決勝の成績だけで順位が決定します。

障害馬術(ジャンピング)

馬場内に設置された障害物を、決められた順番で飛び越えてゴールするスピードを競います。
馬が障害物の前で止まったり、飛ぶときに障害物に触れてバーなどを落としたりすると減点されます。

総合馬術(イベンティング)

同一人馬が初日に馬場馬術、2日目にクロスカントリー、3日目に障害馬術を行い、3日間の合計減点の少なさを競います。
クロスカントリーでは、自然に近い状態の野外コースに生垣や丸太などボリュームがある障害物のほか、水に飛び込んで通過する水濠などを設置。その長さは数kmにも及び、人馬の勇気とスタミナが試されます。

個人:団体戦を兼ねた障害馬術の予選に加え、もう1回障害馬術の決勝を行います。

2024年パリオリンピック馬術競技の日程

日程は下表のとおり。競技時間はパリの現地時間(日本とパリの時差は7時間)です。

年月日競技時間 種目2024年7月27日(土)9:30~18:30総合馬術(馬場馬術)団体・個人2024年7月28日(日)10:30~15:00総合馬術(クロスカントリー)団体・個人2024年7月29日(月)11:00~16:30総合馬術(障害馬術)団体・個人決勝2024年7月30日(火)11:00~16:30馬場馬術・グランプリ 団体・個人予選2024年7月31日(水)10:00~15:30馬場馬術・グランプリ 団体・個人予選2024年8月1日(木)11:00~14:00障害馬術・団体予選2024年8月2日(金)14:00~16:30障害馬術・団体決勝2024年8月3日(土)10:00~16:30馬場馬術・グランプリ・スペシャル団体決勝2024年8月4日(日)10:00~14:00馬場馬術・グランプリ・フリースタイル個人決勝2024年8月5日(月)14:00~18:00障害馬術・個人予選2024年8月6日(火)10:00~12:30障害馬術・個人決勝## 2024年パリオリンピック馬術競技の見どころ

競技会場はベルサイユ宮殿!

今回のパリ五輪では、コンコルド広場やグラン・パレなどパリの象徴的なスポットが競技会場となるのが大きな見どころの一つ。
馬術競技の舞台は、あのベルサイユ宮殿!敷地内に仮設の競技場が設置され、広大な庭園や大運河をバックに人馬が躍動する姿を見ることができます。

2023年8月22日には、競技のため新たに設置された橋の上で馬を走らせ、安全性のチェックが行われました。

こちらから競技場のイメージ図を見ることができますよ。(IOC、「パリ2024オリンピック、馬術競技の競技日程と会場」、https://olympics.com/ja/news/paris2024-equestrian-schedule-venue

また、べルサイユ宮殿についてはこちらの記事も参考にしてくださいね。

[blogcard url=”https://equia.jp/trivia/post-12180.html”]

日本チームの活躍

オリンピックの馬術競技には出場枠があり、地域ごとに限られた枠をつかむための予選競技会が開催されています。

日本は2023年7月にオランダで開催された予選競技会で、障害馬術の団体出場枠を見事に獲得!
代表人馬は今後コンディション等を確認しながら選考されます。

馬術界のレジェンド達の活躍

総合馬術のレジェンド、オーストラリアのアンドリュー・ホイ選手がパリ五輪に出場すると、これまでに4人しかなし得ていない9度目のオリンピック出場となります。
62歳で出場した東京五輪では総合馬術団体で銀、個人で銅メダルを獲得する活躍を見せ、通算のメダル数を金3、銀2、銅1としたホイ選手。さらにメダルの獲得数を増やすのか、注目されます。

また、馬場馬術のレジェンド、ドイツのイザベル・ワース選手は東京五輪の馬場馬術団体で金、個人で銀メダルを獲得し、6度のオリンピック出場で通算のメダル数を金7、銀5としました。
55歳となるパリ五輪で引退するとの発言もあり、その動向から目が離せません。

まとめ

2024年7月の開催まで、すでに1年を切ったパリ五輪の馬術競技。

障害馬術や総合馬術の障害物は、開催地にゆかりのあるデザインで作られることが多いので、競技観戦の楽しみの一つです。ぜひチェックしてみてくださいね。

ヴェルサイユの美しい風景の中、活躍する人馬にエールを送りましょう!

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