柿の天日干し風景再現を応援 富山県南砺市の龍瀧さん、はさ用の藁を市に提供

はさ掛けの設置業者に藁束を渡す龍瀧さん(左)

 富山県南砺市の特産の干し柿作りで、昔ながらのはさを使った柿の天日干しの風景を再現する計画に協力しようと、同市田中(福光)の龍瀧一憲さん(76)が1日、約60~70年前に作られたというカヤ製の雪囲い「オオダレ」と藁(わら)束を市に提供した。市はこれらを活用して同市立野原東(城端)の市クリエータープラザ「桜クリエ」の隣接地にはさ(柿バサ)を設置する。

 再現計画は市が昨年秋に立ち上げ、クラウドファンディング(CF)などで整備費を募った。その際、新聞報道で計画を知った龍瀧さんが提供を申し出た。オオダレと藁束は、龍瀧さんの祖父、故彦三郎さんが農作業などで孫が困らないように取っておいたもの。納屋の2階で大切に保管されており、ほとんどが未使用のため状態の良いまま残っていたという。

 1日は柿バサを設置する業者と市職員が龍瀧さん宅を訪れ、幅180センチのオオダレ7本と長さ90センチ前後の藁束50束をトラックに積み込んだ。龍瀧さんは「祖父の気持ちをくんでなかなか処分できずにいた。市のために活用してもらえるのはありがたい」と話した。

 市や業者によると、提供を受けた藁束は屋根材に、オオダレは日よけ材として使う。10月中に幅約12メートル、高さ約4メートルほどの柿バサを建てる。設置後は実際に柿をつるして干し柿を作る。天日干し作業は市内の農家の協力を見込む。

 また、市は同日から第2弾のCFで整備費として500万円を募っている。

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