大分市の大在エリア、港湾再編整備着々 コンテナやRORO船の受け入れ強化【大分県】

輸出入の貨物を中心に扱う大在コンテナターミナル。需要の増加を受けて用地を広げる=大分市
大分市大在エリアの港湾整備のイメージ

 大分市の大在エリアで港湾の再編整備が進んでいる。運送業界のドライバー不足で陸上から海上輸送への転換が加速しており、荷物の増加に対応するためだ。県は本年度から埋め立てに着手し、輸出入の拠点となるコンテナターミナルの面積を1.2倍に拡大。貨物専用フェリー「RORO船」の用地も集約を図り、受け入れ体制を整える。中九州自動車道の延伸も追い風に、「九州の東の玄関口」としての機能を強める。

 大在コンテナターミナルは銅板や事務機器といった輸出用貨物のほか、輸入用として製鉄の副原料などの荷を扱っている。コンテナの量は新型コロナウイルス禍で減った年があるものの、増加傾向が続く。

 2022年度の取扱量は4万7千TEU(1TEUは20フィートコンテナ1個)で、10年前(12年度)の約1.3倍。30年度には現在の敷地で対応できる上限の9万9千TEUに達する見通しとなっている。

 このため県は29年度までに約4.2ヘクタールを埋め立て、コンテナ設置スペースを広げることにした。16万TEUまで扱えるようにする。総事業費は22億円。荷役作業の効率化も期待できる。

 隣接する6号地には約52億円を投じ、RORO船のターミナル(約21ヘクタール)を新設する。現在は大在公共埠頭(ふとう)に3カ所、計5.9ヘクタールの用地を設けているが、今後の需要増を見据え、効率の点からも移転・集約が必要と判断した。

 RORO船はトレーラーなどが直接乗り入れ、シャシー(荷台部分)のみを切り離して輸送する。ターミナル内にシャシーが置ける台数は現行の4倍以上の1700台になる。

 船が接岸するバース(護岸)部分は国が工事を担う。計2カ所設け、総事業費は約124億円。1カ所目(長さ240メートル)は24年度に完成する。国土交通省別府港湾・空港整備事務所によると、もう1カ所(220メートル)も「27年度の使用開始を目指す」という。

 トラックのドライバー不足を背景に、大量輸送が可能な船舶の需要は全国的に高まっている。

 県港湾課は「貨物の増加に対応できなければ、他県の港に流れてしまう可能性もある。早期の再編を進めたい」と話している。

<メモ>

 大分発のRORO船は東京港、清水港(静岡市)に向けた計2航路・週9便を運航。関東方面につながる便としては九州最多となっている。新型コロナウイルス禍でもニーズは高く、2022年度に取り扱ったシャシー(荷台部分)は2万9355台。15年度(7512台)の3.9倍になった。

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