ポストシーズンでもレギュラーシーズン同様のピッチクロックを採用

「スポーツ・イラストレイテッド」が第一報を伝えたところによると、MLB機構は直近の運営委員会の会議のあと、競技委員会に対して「オフシーズン前に新たな提案を行わない」ことを通達したようだ。これは今年のレギュラーシーズンから導入されているピッチクロックなどの新ルールがポストシーズンでも変更されないことを意味する。ピッチクロックはファンが求めていた試合のペースアップに大きく寄与しており、その結果、観客動員数も増加。ポストシーズンでも引き続きペースアップした試合が行われることになりそうだ。

ピッチクロックの導入により、レギュラーシーズンの9イニングの試合の平均時間は、昨季と比較して25分も短縮された(昨季3時間4分、今季2時間39分)。月別に見ると、4月が2時間37分、5月が2時間38分、6月が2時間39分、7月が2時間41分、8月も2時間41分と選手たちが新ルールに順応するにつれて、少しずつ試合時間は延びているが、それでも昨季から大幅に短縮されていることに変わりはない。

ポストシーズンのみ投球間隔を伸ばすことに賛同する選手もいるが、投手たちはピッチクロックが残り6.5~7.8秒くらいのタイミングで投球モーションに入ることが多く、現在の「走者なし15秒・走者あり20秒」のルールで十分だと考えられている。また、MLB機構は1年間で最も多くの観客が集まるポストシーズンの試合で、わざわざ試合のペースを昨季までのものに戻したくないのだと思われる。

ピッチクロック違反の件数はシーズンが進むにつれて順調に減少しており、投手たちが順応している様子がうかがえる。今季最初の100試合では両チーム合計で1試合あたり0.87件のピッチクロック違反があったものの、直近の100試合ではわずか0.24件。つまり、4試合で1件未満というペースになっている。シーズン全体を見ると、約65%の試合でピッチクロック違反がなく、日本時間8月26日は初めてピッチクロック違反が1件もなかった。

ピッチクロックの導入により、ポストシーズンのドラマが失われることを懸念する人もいるが、MLB公式サイトはポストシーズン史上最も有名な打席、1988年のワールドシリーズ第1戦でカーク・ギブソンがデニス・エカーズリーから逆転サヨナラ本塁打を放った打席を検証。エカーズリーが3度目と4度目の牽制を試みた以外は、投手も打者もピッチクロックのルール以内に収まっていたという。ピッチクロックが導入されるからといって、ポストシーズンの印象的なシーンが生まれなくなるというわけではなさそうだ。

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