50万人超が参加登録…埼玉で「シェイクアウト訓練」 関東大震災発生時刻に県庁などで実施、プラスワンも

会議室でシェイクアウト訓練を行う県議=1日午前、埼玉県議会議事堂

 約10万5千人の死者、行方不明者を出した関東大震災が発生してから、1日で100年を迎えた。政府は「防災の日」のこの日、首相官邸で首都直下地震を想定した総合防災訓練を実施。各地では訓練だけでなく、犠牲者を悼む法要や、虐殺された朝鮮人らの追悼式もあった。未曽有の惨禍を教訓に、いつ起こるか分からない巨大地震への備えが改めて求められる。

 埼玉県議会主催の「シェイクアウト訓練」が1日、関東大震災の発生時刻である午前11時58分に県庁や県議会議事堂で実施された。

 マグニチュード(M)7.3の首都直下地震発生と県内で最大震度6弱の被災を想定し、県庁では訓練開始を知らせるアナウンスの後、緊急地震速報が鳴り響いた。県化学保安課では職員が落下物から頭を守るため、机の下に身を隠した。

 宮原正行課長は「高いところに物を置かないように徹底しているので、頭を守れば体に被害はないことが確認できた」と振り返った。職員らは訓練の「プラスワン」として災害用伝言ダイヤル(171)も体験。「今、無事です」と吹き込んだ音声を再生し、「ちゃんと聞こえる」とうなずく職員もいた。

 県議会では無所属県民会議が団会議中を想定した会派合同の訓練を行い、身を潜めた机の脚をしっかりつかんで互いの安全を確認し合った。井上航代表は「私たちは議事堂で被災する可能性が高い。議会としても防災対策に力を入れたい」と話した。

 埼玉りそな銀行県庁支店では行員約20人が参加。機敏に安全行動を取り、高原央明支店長は「1分間が長いと感じた。いざという時の備えとして、いい経験になった」と実感を込めた。

 参加者が今いる場所で身を守る行動を取るシェイクアウト訓練は、防災週間の8月30日から9月5日の間でも実施可能。県議会事務局によると、1日午前11時時点で50万1447人が参加登録し、42万2346人が同日中に訓練を行ったという。

 訓練を企画した県議会の立石泰広議長は「10万人を目標としていたが、幅広く多くの方が参加してくれた。プラスワンの行動が大事で、親への引き渡しを訓練する保育園もあった」と、波及効果や職員らの協力に感謝した。

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