「海なき市にプールを」から52年間…さいたま・沼影屋外プール、最後の夏季営業終了 来年4月ごろから解体へ

夏季営業の最終日に来場者でにぎわう屋外プール=8月31日午前、埼玉県さいたま市南区沼影

 埼玉県さいたま市南区沼影の市沼影公園の屋外プールは8月31日、夏季営業を終了した。来年4月ごろから解体される予定で、屋外プールの営業は今年が最後となった。52年間にわたり、地元住民から親しまれてきたことから、来場者は「身近なプールがなくなるのは寂しい」と惜しんでいた。

 沼影公園の屋外プールは1971年、「海なき市にプールを」という期待に応えて造られた。50メートルプールや子供プール、全長約100メートルのスライダーなどを整備。開業から52年間で約600万人の来場者が訪れた。

 沼影公園所長の会田孝志さん(46)は24年間、同園に携わり「人生の半分以上をここで過ごした。無事故を最後まで徹底できてよかった」と振り返った。親子で何回も訪れた川口市の小学4年の武島瑠那さん(10)は「小さい頃から来ていて、ご飯やスライダーが思い出」と話した。

 プールと道を挟んだ向かいにある駄菓子屋「いせき」は、この場所で40年近く営業を続けてきた。同店の森田ふじ枝さん(77)は「多くの子どもたち、プールのお客さまのおかげで今までやってこられた。この年までお店を開けて幸せです。もう少し続けようかなと思う」と笑顔で話した。

 市教育委員会は、屋外プールなどを解体して、沼影公園の跡地に小中一貫の「武蔵浦和学園義務教育学校(仮称)」の建設を計画している。屋外の50メートルプールは冬季にアイススケート場となり、今冬が最後の営業となる。屋内プールは2025年夏ごろの解体を予定している。

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