ぜいたく税回避を目論んだエンゼルスの計画は失敗に終わったのかもしれない。
8月29日（日本時間30日）エンゼルスは6人の主力選手をウェーバーにかけた。いずれも今オフにFAとなる予定の選手たちであり、主力の放出はエンゼルスにとって事実上の白旗宣言であった。
今季を完全に諦めてでも年俸削減に動いた狙いはぜいたく税の回避にあったはずだ。ウェーバーで選手を獲得する球団は、その選手の残り年俸を負担することになる。6選手をウェーバーにかける前、エンゼルスはぜいたく税の基準額2億3300万ドルをわずかに上回っているとされていたが、移籍先球団に彼らの年俸を負担してもらうことでこの基準額内に収めることができる公算だった。
結果として、6選手中ランドール・グリチックを除く5選手が移籍することになり、これでエンゼルスの狙いは成功したかと思われた。しかし、地元紙『オレンジカウンティ・レジスター』のジェフ・フレッチャー記者によると、グリチックの獲得球団が現れなかったことが災いし、5選手放出後でも依然ぜいたく税基準額を上回ってしまっているという。
これによりエンゼルスは今季の超過年俸に課税されるだけでなく、来季のドラフト指名権に対しても影響を及ぼすかもしれない。
今オフFAになる大谷翔平に対し、エンゼルスは1年契約のクオリファイング・オファーを提示することができる。これを拒否して大谷がFAで他球団に移籍した場合、エンゼルスは来年のドラフトで補償の指名権を得られる仕組みだ。
しかし、今季ぜいたく税対象球団となってしまったことで、この補償は2巡目戦力均衡ラウンドB直後の指名権から、4巡目直後の指名権へとダウンしてしまう。得られる指名権の順位が大きく低下することは、エンゼルスにとって課税以上のダメージがあるだろう。もちろんこれは大谷との再契約に成功すれば無用の心配ではある。
エンゼルスが来季再建するのか、またすぐにポストシーズンを狙えるチームを作りたいのか、まだその方針は見えてこないが、今回賛否両論がありながらも敢行したウェーバーが狙い通りの結果にならなかったことは、大きな痛手になりそうだ。
