熱中症で救急搬送…あなたが加入している保険で保障はされる? 1日単位で入れる保険の注意点

例年にない暑さが続く日本列島。今年は関東や西日本以上に北陸・東北・北海道などの、比較的夏が短い地方にも猛暑が襲っています。連日熱中症による救急搬送が後を絶ちません。入院に至る症状も少なくない熱中症。どのような保険が適用になるのでしょうか?


データから見る、熱中症の状況

総務省消防庁では、全国の熱中症による救急搬送状況を、週ごとに速報データとして公表しています。
3年間の7月8月の救急搬送人員と死亡者数を比べてみると、今年の猛暑の状況がわかります。

また、令和4年7月、令和5年7月の熱中症救急搬送時の初診時における傷病程度別のグラフを見ると、構成比率は似たような比率で、軽症が6割以上を占めていますが、中等症、重症のひとが3割以上いることがわかります。軽症は外来診療で入院治療を必要としない程度の症状ですが、中等症は入院治療が必要、重症は3週間以上の治療が必要な症状が目安だと言います。

中等症から重症化することも考えられます。重症となると、臓器障害による呼吸器障害や腎障害、血液凝固異常がみられることもあり、集中治療室での治療、人工呼吸器による呼吸器管理や人工透析・薬物治療などが行われることもあるようです。

熱中症の治療というと、脱水症状を改善するために点滴をして水分や電解質を補給するという治療を想像しますが、早目の対処をしないと重篤な病気に発展する可能性があることを認識した方がよさそうです。

熱中症で支払われる民間保険にはどのような保険がある?

入院治療が必要な熱中症に備えるにはどのような保険が必要なのでしょうか?
一般的な医療保険では、熱中症に特化した特約はあまり見られませんが、入院すれば、入院費用は支払われますので、一般の医療保険に加入していれば十分 といえます。

入院日数が短期化している現在では、1日でも入院すると一時金が支払われる特約や、短期入院に備えて、1日の入院でも10日分の入院費用を支払う特約があります。
加入中の保険が短期入院に対応していないようでしたら、熱中症だけのためではなく、今後のために、短期入院に備えた医療保険に見直すことも必要 でしょう。

傷害保険の特約として「熱中症危険補償特約」という特約があります。
傷害保険はけがに備える保険なので、病気は対象外ですが、この特約をつけることで熱中症による入院や通院の保険金を支払うことができます。
傷害保険のひとつである、レクリエーション保険にもつけることが可能ですから、暑い時期に行われる催しには、付帯することをお勧めします。

一日から入れる熱中症保険は必要か?

スマホで簡単に加入できる熱中症保険があります。
炎天下で仕事やスポーツをする、部活や運動会で屋外の活動をするときに、その日だけ、安価で安心を買える保険です。

病院で点滴治療をした場合、1回につき1万円。入院治療をした場合、1回の入院につき3万円というように、お見舞金として保険金を支払う仕組みです。
期間限定型の場合、1人1日につき100円から、という手軽な保険料ですから、安心のために加入してもいいかもしれません。月額型もあり、月200円程度の保険料ですから、さらに割安です。

ただし、保険金支払いの回数に制限があるのが気になりますし、重症化した場合には、充分な治療費用にはなりません。すでに医療保険に加入している場合は保障が重複することになりますから、安いからといって、あえて加入する必要はないでしょう。

通院治療、入院治療があった時に保険金が1回のみ支払われるということは、長期にわたる入院や、集中治療室での管理料、後遺症が残ってしまった場合の手当てなどの備えにはならないということです。あくまでもお見舞金だということを覚えておきましょう。

熱中症を未然に防ぐのは情報収集!

病気は食事や生活習慣に気をつけるとかなり予防できるものですが、熱中症は他の病気以上に予防することが可能な病気のひとつです。
重症化すると、後遺障害が残りかねない疾病ですから、事前に対策をとりましょう。
国の各省庁では、様々な角度から熱中症情報を提供しています。

気象庁では、「熱中症警戒アラート」をだし、注意喚起をしています。無料のメール配信サービスもありますから、登録してアラートが発表されたら外出や屋外での運動を控えるなど、充分注意しましょう。

厚生労働省では、「健康のために水を飲もう
」推進運動を提唱しています。このサイトによると、「体の中の水分が不足すると、熱中症(ねっちゅうしょう)、脳梗塞(のうこうそく)、心筋梗塞(しんきんこうそく)など、さまざまな健康障害(しょうがい)のリスク要因となります」といいます。
その他にも、予防のためのリーフレット、症状が出始めた場合の対処方法、スポーツをするひとへの注意喚起の動画など様々な情報があります。
上手に利用して、予防に心がけましょう。

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