北茨城 天心の命日に墓参 顕彰会40人 思いはせる

岡倉天心の墓前に献花する顕彰会の会員たち=北茨城市大津町五浦

茨城県北茨城市大津町に日本美術院を移し、近代美術の発展に多大な功績を残した岡倉天心(1863~1913年)の命日である2日、同所にある墓所で、故人をしのぶ「天心忌」が開かれた。「五浦日本美術院岡倉天心偉績顕彰会」の会員ら約40人が訪れ、日本画の革新運動に尽力した美術思想家に思いをはせた。

五浦の墓所は、史跡の六角堂が立つ旧天心邸からほど近い場所にあり、天心が埋葬された東京・染井霊園から分骨された。同会は毎年9月2日に、同所で「天心忌」を営んでいる。

墓前に会員が1人ずつ焼香、献花したほか、天心が五浦の景色を詠んだ漢詩「五浦即事」を吟じ、死の1カ月前に作った英詩「戒告」の和訳を朗読。会員が新たに作詞した漢詩「天心忌墓参 其の二」もささげられた。同会の桂木なおこ副会長は「墓参は、歴史的意義などをみんなで確認する機会。大切にしていきたい」と話した。

参加者を対象に五浦観光ホテルでセミナーも開かれ、県天心記念五浦美術館長で茨城大名誉教授の小泉晋弥さんが「天心記念五浦美術館のはたらき-天心が眺めた風景から考える」と題して講演した。

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