広島市長を訪ねたのは、市立広島商業高校(広島市商)・珠算部のメンバーです。部長の 紙野聡実 さんは、この夏、市商珠算部としては7人目の「高校そろばん日本一」に輝きました。2年生の 小林優太 さんは、紙野さんに続いて2位。全国大会での活躍を報告しました。
報告会では、デモンストレーションとして、紙野さんが暗算を披露。電卓を使って挑戦した市職員に格の違いを見せつけました。
広島市商 珠算部 紙野聡実 さん
「820億6340万3014です」
― 御明算です。
市職員
「ごめんなさい。まだ、できていません。あっ! 違った」
日本一のすごさに松井市長も驚きの表情です。「願いましては…」、全国で “ワン・ツー・フィニッシュ” した市商珠算部のすごさに迫ります。
全国大会では惜しくも2位となった小林さんですが、2日後に迫る中国地方の大会(中国五県珠算選手権大会)に向けて出げいこに出かけていました。
小林さんの隣りでそろばんをはじくのが、こちらの塾生で、去年の中国大会で「名人」の座をかけて戦った 西山叶望 さん(安田女子高校)です。勝負は最後までもつれて、西山さんが名人の座を射止めました。
広島市商 珠算部 小林優太 さん
「去年は最後の最後で自分が合わせきることができなくて、かなりくやしい思いをしたので、ことしはちゃんと合わせきって名人になれるように」
一方、受けて立つ西山名人は…
中国五県名人 西山叶望 さん(安田女子高校3年)
― 小林くんの存在は?
「すごく刺激になります。誰が来ても、ちゃんといつもの自分が出せるように落ち着いてがんばりたいです」
迎えた中国大会で名人戦を目指していた小林さんは、山口県代表の東京大学大学院生に同点決勝の末に敗れ、惜しくも西山さんとの再戦はかないませんでした。
広島市商 小林優太 さん
「自分のいつも通りの実力を発揮することができなかったのが、やっぱり一番くやしくて」
名人戦は、ともに練習した西山さんが、みごと防衛を果たしました。
広島市商 小林優太 さん
「今まで一緒にチーム広島として練習してきた、よきライバルでもあるし、自分が目指している存在でもあるので、防衛したときはやっぱり自分もうれしかった」
高校生そろばん日本一に輝いた紙野さんも、中国大会に兄・大樹さんともに出場し、同じ舞台で兄妹が競い合います。
大学生の大樹さんも広島市商・珠算部のOB。小学2年生のとき、妹と同じ日にそろばんを始め、今もよきライバルです。日本一に輝いた妹については…
兄 紙野大樹 さん(関西学院大学)
― どんな妹?
「家ではもう溶けるように寝てばかりです。(個人総合優勝は)ぼくが取れなかったものなので、すごく自分のことのようにうれしくて」
聡実さんにとっても兄の存在は大きいようです。
広島市商 紙野聡実 さん
「一番近しい存在で目標であり、ライバルであり、先輩でもあるので、その存在から『おめでとう』って言ってもらえたのが本当にうれしかった」
中国地方のナンバー1を決める大会では、広島県代表チームがみごと優勝。種目別でも、読上暗算競技で紙野さんが優勝し、兄・大樹さんが2位。読上算競技では、紙野兄妹が2位になるなど優秀な成績を収めました。
中国大会を終えたばかりのこの日、広島市商・珠算部は、9月に開かれる県高校ビジネスコンテストに向けて練習に励んでいました。
部室には、輝かしい歴史を物語る数々のトロフィーや賞状が飾られています。顧問の 深井志葉 先生の高校時代の写真もありました。個人と団体で高校そろばん日本一に輝きました。
指導する 早川雅美 先生は、20代で広島市商・珠算部を日本一へと導き、全国大会の団体優勝は7回を数えます。60歳を越えた現在は部活動指導員という立場で関わっています。
読上算の練習では通常、大会でおよそ25秒で読み上げるのを、早川先生にかかると、どんどん読み上げるスピードが上がっていきます。部員と先生の真剣勝負が繰り広げられます。
読上算の練習
「はい。6806億5300万3601円です」
続いては、フラッシュ暗算です。まずは3秒間で3けた15個の数字の足し算から。
小林さんが手を挙げました。そして、答え合わせすると、正解です。
早川雅美 先生
「今、やった3秒がフラッシュ暗算検定の10段になります」
10段は10中、8問以上正解で合格だそうです。
さらに早くなります。2.4秒に挑戦します。
フラッシュ暗算の練習
― 8496。
「ありがとうございます」
― 合った人? 合うじゃん。
フラッシュ暗算ですが、全国にはまだまだ上がいるそうです。
ここで、「そろばん!あるある」を聞いてみました。
広島市商 珠算部 紙野聡実 さん
「そろばんやってる人あるあるで、そろばんとか電卓とかを『この子が』とかって呼んだりします。ちょっとぶつけたりしたら『ごめん』みたいな」
そして、ツメの手入れも、欠かせないそうです。
広島市商 珠算部 小林優太 さん
「自分もツメの長さをそろえたいので。今、全部長いんですけど、あさってから学校なので切らないと(検査で)ヤバい。2週間後にまた大会があるので、そこに向けて、ちょうどいい長さに切るようにしようと思います」
これまで大きな大会でなかなか結果が出せなかったという部長の紙野さん。
広島市商 珠算部 紙野聡実 さん
「今、後輩ががんばってくれているので、来年の目標が個人個人であると思うので、今まで支えてくれた分、それをわたしが今度は支えるという形でしっかりサポートしていけたらなと思っています」
ここから、また新たな広島市商・珠算部の歴史がスタートします。