【シンガポール】プラモデルでものづくり県PR[経済] 静岡、観光・食と併せて売り込み

イベントではタミヤのプラモデルを組み立てるワークショップが開催された=2日、シンガポール中心部(NNA撮影)

静岡県は、製造業が盛んな「ものづくり県」としての魅力と、観光資源やお茶などの食を併せて知ってもらう取り組みをシンガポールで始めた。プラモデル大手タミヤ(静岡市)の正規販売店であるシンガポールのタミヤ・スターゲック(STARGEK)の協力を得てこのほど、プラモデルをテーマにしたイベントを開催。県中部の観光に関するセミナーも実施した。多方面から県を紹介することで、県産品の売り込み、インバウンド(訪日客)誘致につなげたい考えだ。【清水美雪】

静岡県は、プラモデルの出荷額で日本一を誇る。経済産業省の統計では、プラスチックモデルキット(工業統計表でのプラモデルの製造品名)の都道府県別の出荷額の9割超を静岡が占める一大産地となっている。

2日には、プラモデルを切り口にして静岡のものづくり企業のほか、観光や食と県の魅力を紹介するイベント「ホーム・オブ・マウントフジ—静岡~静岡県のクラフトマンシップと観光」をシンガポール中心部で開催。静岡県東南アジア駐在員事務所と、在シンガポール日本大使館の日本文化発信拠点である多目的展示施設「ジャパン・クリエーティブ・センター(JCC)」が共催した。

会場となったジャパン・クリエーティブ・センターでは、タミヤ・スターゲックの協力を得てタミヤのプラモデルを組み立てるワークショップを実施したほか、プラモデルの展示や体験走行も行った。静岡県がタミヤ・スターゲックとプラモデルをテーマにしたイベントで提携するのは今回が初となった。

ワークショップは3回開催。1回当たりの参加募集人数は12人で、募集開始後すぐに3回分の予約が全て埋まるほど好評だった。家族連れの姿も見られ、実際には参加募集人数以上の人が集まった。参加者は、マーライオンが乗車しているミニ四駆の特別モデルの組み立てを体験した。

静岡県東南アジア駐在員事務所の竹田敏彦所長はNNAに対し、「シンガポールで静岡の魅力を多方面からアピールする上で、今回試験的に初めてものづくりをテーマに取り上げた」と説明。タミヤの商品を知ってもらうことで販促を図るとともに、タミヤ本社のある静岡へのインバウンド誘致にもつなげたいと期待を示した。

タミヤ・スターゲックは、シンガポール、マレーシア、インドネシアでタミヤの商品を専門に販売。シンガポールでは、2004年にオープンした日本国外で初のタミヤのショールームがある。

タミヤ・スターゲックのゼネラルマネジャー、ケルビン・ラウ氏は、「今回のイベントに協力したのは、静岡県側などから声掛けしてもらったことがきっかけだ。会場ではミニ四駆、教材として使える工作キット、スポーツカー、自動二輪車の4タイプを中心に展示した」と語った。シンガポールでは集合住宅が多く、居住面積があまり広くないこともあり、特に小型のミニ四駆が人気という。

ワークショップに親子で参加したシンガポール人女性は「息子はまだ小さくプラモデルを自分で組み立てたことはないが、車自体に興味があるので参加した。作業が難しい部分は(家に持って帰り)プラモデルが趣味の夫に手伝ってもらう」とコメント。家族ぐるみで組み立てを楽しむという。

ワークショップの一環として、静岡の観光資源を紹介するセミナーも行った。静岡県中部5市2町の地域連携DMO(観光地経営組織)、するが企画観光局の担当者が、緑茶やお茶を使ったスイーツ、茶畑が広がる自然豊かな地域、蒸気機関車(SL)などを説明した。会場ではこのほか、シンガポールで購入できる静岡茶が来場者に振る舞われた。

静岡県東南アジア駐在員事務所は、今後もプラモデルに限らずものづくり県としての魅力をPRしながら、観光や食も併せて紹介する取り組みを進めたい考えだ。

会場に展示されたタミヤのプラモデル商品=2日、シンガポール中心部(NNA撮影)

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