感動の3日間、名残惜しみ閉幕 おわら風の盆、観客19万人

優美な町流しに見入る見物客=3日午後7時5分、富山市八尾町上新町

 「越中八尾おわら風の盆」は3日、富山市八尾町中心部で最終日を迎えた。好天に恵まれた3日間。「坂のまち」に哀愁漂う胡弓(こきゅう)や三味線、唄が名残惜しむように響き渡る中、男女の踊り手が舞い続け、見物客も心行くまで「おわら情緒」を堪能した。おわら風の盆行事運営委員会によると、3日は5万人が訪れ、期間中の人出は計19万人となった。

 おわらを受け継ぐ11町は午後5~7時ごろ、町流しや舞台形式の踊りなどを始めた。蒸し暑さが残る中、上新町の町流しでは多くの見物客が大通りの両脇を埋め、優美な光景にうっとり見とれた。最後は観光客への「お土産」の思いを込め、昭和40年代前半に始まった伝統の「大輪踊り」を繰り広げた。担い手の多い福島は迫力の舞台と町流しで魅了した。

 人出は新型コロナウイルス前の2019年の17万5千人を上回った。コロナの影響で20、21年は中止され、行動制限があった昨年は12万人で、今年は例年20万人前後が訪れる水準に近づいた。

 昨年に続き、前夜祭や各町の競演会を取りやめ、町流しの時間を短縮するなど規模を縮小しての開催。富山県民謡越中八尾おわら保存会などでつくる行事運営委は、風の盆を適正規模で将来に継承するための指標となる年に位置付けた。

 同保存会の金厚有豊会長は担い手不足、運営経費の負担増などの課題に触れ「今年の風の盆を検証し、どのような形が良いかまた考えていく。応援の輪ももっと広げたい」と話した。

© 株式会社北國新聞社