五島にも絶滅危惧魚 アブラボテ 調査の上田さんが小学生に講話 「生き物に興味持って」

児童にアブラボテの生態を教える上田さん=五島市立緑丘小

 長崎県五島市内で動植物の調査を続けている五島自然環境ネットワーク代表の上田浩一さん(53)が8月29日、同市木場町の市立緑丘小で、4年生75人に、近くの川で絶滅の恐れがある淡水魚アブラボテについて講話した。
 アブラボテはコイ科で体長4~7センチ。県内では本土や壱岐に生息しており、五島市では中心部を流れる福江川と後(そ)の川=いずれも2級河川=にしかいない。県の絶滅危惧ⅠB類に指定されており、2020年に県内での捕獲が禁止された。
 講話は総合学習の一環。同市出身の上田さんはかつて、福江川でアブラボテをたくさん見つけていたが、約40年前からの河川工事で減少したことを指摘した。二枚貝のマツカサガイの中に産卵する特徴や生態を説明し、「生き物には役割があり、つながっている。アブラボテが生きていけるのは、いろんな生き物がいる豊かな川」と話した。
 市内の鐙瀬(あぶんぜ)ビジターセンターで保護したり、現在実施中の後の川の工事担当者と保護に関する協議を続けたりしているが、個体数は15年前と比べてもかなり少ないという。上田さんは「アブラボテをまず知り、絶滅の危機にあると覚えて。五島にどんな生き物がいるか興味を持ってほしい」と呼びかけた。児童は熱心に聞き入った。青山拓未君(9)は「知らないことがたくさんあった。友だちや周りの人に教えたい」と話した。

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