ネッシーやアンギラスはリングに上がれるか?ゼットンはOK!UMAや怪獣のプロレス適性を研究家が分析

英北部スコットランドのネス湖にすむと伝えられる未確認動物(UMA)「ネッシー」の大規模捜索が8月下旬、約50年ぶりに行われて世界的な話題になった。日本では1970年代前半に大ブームが起こり、当時の子どもたちの脳裏に刻まれたが、その時代を知る人たちが中心となり、UMAや怪獣がリングで戦うというコンセプトの新団体「怪獣プロレス」が今月28日に東京・秋葉原で旗揚げする。この企画に参加するUMA研究家の山口敏太郎氏と中沢健氏が対談で持論を展開した。

両者は8月に都内で行われた同団体のイベントでトークショーを行った。中沢氏は「王道ですけど、プロレスにネッシーは出したいですね。首が長いのは難しいかとは思うんですけど、なんとかデザインをプロレスできるくらいに落とし込みたい。さらに、ニューネッシー(※77年に日本のトロール船が太平洋で引き上げた巨大生物の腐乱死体)もUMAとして出せたら」と構想を膨らませた。

ただ、ネッシーのような「恐竜型」はプロレスに適しているかという課題もある。中沢氏は「アンギラス(東宝のゴジラ映画シリーズに登場)が好きなんですが、プロレス的には出しにくいですかね?」と質問。山口氏は「(四つんばい状態である)4本足の怪獣はプロレスをやっていいのか?ということはテーマになる。サッカーボールキックとかやられたら一発だし…」と課題点を挙げた。

やはり、プロレスの適性は「怪人&星人」タイプか、怪獣であっても二足歩行で人間に近い動きをする存在に軍配が上がりそうだ。

中沢氏は、最終回でウルトラマンを倒した宇宙怪獣「ゼットン」を挙げ、「尻尾がある怪獣はプロレス的には大変そうですが、ゼットンは平成の『大怪獣バトル』でもプロレス技をかなり出していました。ゼットンはいけると思いますね」と指摘。山口氏は「星人や怪人は怪獣に入るのか?という問題がある」としつつ、「プロレス向きなら、エースキラー(ウルトラマンAの第14話に登場する星人タイプのロボット怪獣)とかも」と、さらなる具体例を挙げた。

話題がウルトラ怪獣にシフトしたところで、両者は自身の原点に触れた。

中沢氏は「僕は81年生まれですが、80年代生まれって『ウルトラマンがない世代』なんです。僕の場合、『ウルトラマン80』(80年4月-81年3月放送)が終わって数か月後に生まれているので、そこからテレビでは16年もの間(96年放送の『ウルトラマンティガ』まで)、ウルトラシリーズはなかった」と振り返る。

山口氏は「僕は66年生まれで、リアルタイムで見たのは『帰ってきたウルトラマン』(71年4月-72年3月放送)から。(0歳から2歳の間に放送された)『ウルトラマン』(66年7月-67年4月)や『ウルトラセブン』(67年10月~68年9月)は少し上の世代になる」と説明した。

その山口氏は、70年代にネッシーなどのUMAが怪獣と一緒に漫画誌などの図解で紹介された時代を知るリアルタイム世代でもある。「我々が子どもの時、テレビでウルトラ怪獣とUMAが戦ったらどうなるかと思い描いたものです。(今後)日本から怪獣がなくなったら寂しいですよ」と思いを吐露した。

後追い世代の中沢氏は「レッドキング(ウルトラマン第8話のほか幅広く登場)といった強い怪獣だけでなく、チャンドラー(同8話に登場する有翼怪獣)みたいな〝やられ役〟がいてもいい。あと、プロレスってアイデア勝負みたいなところもあるから、ブルトン(ウルトラマン第17話に登場する〝フジツボ〟のような形の物体怪獣)が出てきても面白い」と発想を巡らした。

ネッシー以外のUMAにも言及した。中沢氏は「モンゴリアン・デス・ワーム」という、ゴビ砂漠周辺に生息するといわれ、巨大なミミズやイモムシのような姿をして、猛毒があるというUMAの参戦を提案。同氏は「アメリカ軍がモンゴリアン~を捕獲しようとして、逆に電流攻撃でやられたという話がある」と解説。山口氏は「リングでモンゴリアン~とアメリカ軍(という設定)の電流爆破デスマッチも面白い」と呼応した。

山口氏は「俺が子どもの頃、怪獣とUMAはごちゃごちゃになっていて、そのうちに怪獣とUMAは別れていった。怪獣プロレスはUMAファンにも見て欲しい」とアピール。中沢氏は「もう1度、子どもがプロレスを見に来る時代に戻って、そこから怪獣やUMAを知ってもらえたら」と呼びかけた。

今夏のネッシー探索は確たる証拠を見つけられないまま幕を閉じたが、今秋、リングというファンタジーの中で躍動するUMAと怪獣に思いをはせる人たちがいる。

(デイリースポーツ/よろず~ニュース・北村 泰介)

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