【GXビジネス】ものづくり現場の二人三脚㊤ 目指すべき方向性を整理【大分県】 大分県産業科学技術センターと地場企業の挑戦

乳幼児も手に取って遊ぶことができる「たたみたす」。さまざまな造形物をつくることができる

 消費者の心をつかむ魅力ある商品の背景には、練り上げられたコンセプトや優れた技術、マーケティングを踏まえた入念な市場戦略がある。意欲的な地場企業のものづくりを、多角的な視点から支える公的機関の一つに、大分県産業科学技術センター(大分市高江西)がある。挑戦する企業と伴走するセンターの専門技術者らをルポする。両者のコラボが生み出す可能性とは―。

 佐々木畳店(宇佐市北宇佐)は2022年、畳を素材にした積み木「たたみたす」を開発した。従来の「敷くもの」という発想から抜け出し、子どもの五感や創造力を刺激する斬新な商品は、支援に入ったセンターとの連携から生まれた。クラウドファンディングでは子育て家庭などから高い評価をつかみ、市場デビューを果たした。

 動き出したのは2020年春。前年に父親から経営のバトンを受け継いだ佐々木康幸社長(43)は、住まいの洋風化で畳離れが進む中、「付加価値を高めた新たな製品をつくりたい」とセンターの門をたたき、商品化プロデュース支援事業を活用することとした。

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