ベビー用品軒並み値上がり、子育て世帯を直撃 有識者「今後も上昇」家計の見直しアドバイス

大手メーカーの粉ミルクも値上げが相次いでいる=福井県福井市内
赤ちゃん物価指数と消費者物価指数全品目の上昇率推移

 物価高の影響でベビー用品の値上がりが止まらない。7月の消費者物価指数の前年同月の上昇率に比べ、紙おむつや粉ミルクなどから算出した「赤ちゃん物価指数」の上昇率は2倍以上となっており、子育て世帯を直撃している。福井県内の有識者は今後も上昇傾向は続くとみていて「家計の見直しが必要」とアドバイスしている。

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 ■「卒乳早めるかも」

 「おむつはネットの割引セールやキャッシュバックのときにまとめ買いしています」と話すのは、長男(1)を子育て中の女性(26)=福井県坂井市。「おもちゃも高くなっているから気安く買ってあげられない」。育児用品が軒並み値上がりし、県内の子育て家庭からはこんな嘆きの声が聞こえてくる。

 同市の女性(32)は、10カ月の長男のおむつを会員制量販店のコストコなどでまとめ買いしているという。「おむつもミルクも毎日使うので高くなると困る。卒乳を控えミルクは飲む量も最近少なくなってきていているので、まとめ買いできない」と訴える。

 1歳の長男を育てる20代女性(同市)は、粉ミルクの高騰について「卒乳を早めることも考えている」と切実だ。

 ■5品目から抽出

 「赤ちゃん物価指数」は、横浜銀行グループのシンクタンク、浜銀総合研究所(神奈川)が考案。▽粉ミルク▽紙おむつ▽人形▽玩具自動車▽乳児服―の5品目から抽出している。

 赤ちゃん物価指数の上昇率は、2022年12月に消費者物価指数全品目を上回り、差は拡大傾向をたどっている。7月には、消費者物価指数全582品目の上昇率3.3%に比べ、赤ちゃん指数の上昇率は7.1%と2.2倍となった。

 同研究所などによると、紙おむつなどの原材料価格の高騰や輸送コスト増大に加え、少子化で子ども関連市場が縮小しているため、利益を確保するため価格に転嫁されている。

 福井市内の子ども服専門店では、乳幼児向けの服が昨年に比べ500円~千円ほど値上がり。取り扱っているおもちゃや靴も数百円上がっているという。

 ■自治体支援も必要

 消費者団体のふくい・くらしの研究所(福井市)理事で仁愛大学人間学部教授の南保勝さん(70)によると「福井は共働き世帯が多く物価上昇に耐える力はある」とみる一方で「福井の食品価格は全国平均より高く、粉ミルクをはじめ、赤ちゃん用品の値上がりの心理的ダメージは他県より高い。子育て世帯への影響は大きい」と指摘する。

 この状況を乗り切るために、南保さんは「まずは家計の見直し。家族の保険や娯楽費などが本当に今必要なのか判断したり、着なくなった服など不用品はフリーマーケットで売ったり工夫してほしい」とアドバイスする。

 さらに物価上昇を賃金上昇がカバーできていないとし「ふるさと納税の返礼品でベビー用品を用意するなど自治体の支援も必要」と話している。

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