【GXビジネス】ものづくり現場の二人三脚㊥ 固定観念を捨て、可能性探る【大分県】 大分県産業科学技術センターと地場企業の挑戦

 消費者の心をつかむ魅力ある商品の背景には、練り上げられたコンセプトや優れた技術、マーケティングを踏まえた入念な市場戦略がある。意欲的な地場企業のものづくりを、多角的な視点から支える公的機関の一つに、大分県産業科学技術センター(大分市高江西)がある。挑戦する企業と伴走するセンターの専門技術者らをルポする。両者のコラボが生み出す可能性とは―。

 (㊤より続く)

 「自然素材ならではの優しい香りと肌触りが畳の魅力」。佐々木康幸社長(43)は、日常の暮らしの中で、畳の素晴らしさを味わってほしいという原点に立ち戻り、考えた。

 必ずしも「敷くもの」という固定観念にこだわる必要はなかった。理想の商品、そこに集まる家族のイメージを、デザイン分野に強い佐藤寿喜研究員(29)が画用紙に描いたりしながら構想を膨らませた。畳を使った「お父さんのパター練習用マット」など、実際に試作品も作りながら模索を重ねた。

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