石木ダム 工事現場に反対住民侵入 重機でのり面掘削か、長崎県が被害届提出

男性が小型ショベルカーで進入したとされる工事現場=川棚町川原地区

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画している石木ダム建設事業で、県は4日、建設に反対する住民男性が小型のショベルカーで工事現場に侵入し、道路ののり面を掘削したとして、川棚署に被害届を出したと発表した。同署は公務執行妨害の疑いで調べている。
 県によると男性は8月14日午後2時25分ごろ、ダム建設時に使えなくなる県道の迂回(うかい)道路工事現場に侵入し、のり面を掘削。県石木ダム建設事務所の職員4人が気付いて現場に駆けつけ、作業をやめて出て行くよう注意した。その際、男性はショベルカーのアームを振って威嚇し、先端のバケット部が男性職員1人の右肘に接触したという。けがはなかった。
 男性は同50分ごろ現場から退去。県は今月1日に同署に被害届を提出した。県河川課の田中良一企画監は「重機が職員に接触するという危険な行為は非常に悪質で、警察に届け出るべきと考えた」と述べた。
 現場は今年3月、耕作地に土砂が投入された付近。別の住民男性は「水路の土砂を除き、田畑の水を確保しようとしたのでは。県は住民に対し、野菜も米も作るなという非人道的なことを求めており、被害届は住民に対する圧力。男性は威嚇はしていないと思う」と話した。

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