針尾無線塔の「基礎」現る! 佐世保市で100年ぶり 9月9日、10日は市民に公開

建設から100年ぶりに姿を現した無線塔の基礎部分=佐世保市

 長崎県佐世保市針尾中町の国指定重要文化財「旧佐世保無線電信所(通称・針尾送信所)」の無線塔の基礎部分が4日、報道陣に公開された。市は将来的な保存修理を目的に調査を進めており、無線塔の根元付近を約6メートル掘削。100年ぶりに“礎”が姿を現した。9、10日に市民らに特別公開する。
 針尾送信所は、旧日本海軍が1918年から4年かけて建設した鉄筋コンクリート造の通信施設。41年の太平洋戦争開戦の際には、暗号電文「ニイタカヤマノボレ1208」を送信したとも言われる。
 調査したのは、三つの塔のうち最初に建てられた1号無線塔。8月ごろの約1カ月間、根元部分から幅約1.6メートル、長さ約7.2メートルにわたり掘削。鉄筋コンクリート製の基礎や、基礎の一部となって塔を支えている岩盤、水平を保つため基礎と岩盤の間に敷かれた厚さ約15センチのコンクリートが確認された。塔の基礎は鉄筋のさびもなく、市文化財課の松尾秀昭さんは「当時の人々が妥協せず丁寧に工事をした証し。100年立ち続けているゆえんだ」と話す。
 特別公開は両日とも午前10時~午後3時。予約不要、入場無料。見学用デッキから基礎部分を見ることができ、同課は「今後二度と見られない貴重な機会。ぜひ見てもらいたい」と呼びかけている。

© 株式会社長崎新聞社