平和の架け橋になれたら かごしま総文弁論で最優秀賞 バンダービーン新愛さん(青雲高3年)

かごしま総文を振り返るバンダービーンさん=長崎新聞社

 鹿児島県で開催された第47回全国高校総合文化祭(2023かごしま総文)の弁論部門で、文部科学大臣賞・文部科学大臣旗に輝いた青雲高3年のバンダービーン新愛(にいな)さん(18)。「Imagine」と題して核兵器廃絶への思いを訴え、本県勢24年ぶりの最優秀賞を受賞した。約7分間の発表に込めた思いなどを聞いた。
 弁論大会に出るようになったのは、高校1年の夏休みの課題に核廃絶をテーマにした原稿を提出したのがきっかけ。当時は、自身が被爆3世であることを公表することへの不安から被爆者の祖父母の存在には触れなかった。だが、2年時には祖父母の願いを発信するとともに、核兵器禁止条約に後ろ向きな日本政府の姿勢に疑問を呈して県大会と九州大会で優勝した。
 今年の全国総文祭には各地の代表75人がエントリー。「自分の思いが1人でも多くの人に届くよう、最高のパフォーマンスを」と心に決め、語りかけるような弁論を意識して臨んだ本番。「聴衆に届いた!」という確かな手応えがあった。長崎に戻るとすぐに祖母と天国の祖父に報告。祖母は「すごいね」とハグし、泣いて喜んでくれた。

かごしま総文の弁論で、核兵器廃絶に向けて「手をつなぎませんか」と呼びかけたバンダービーンさん=鹿児島市、サンエールかごしま

 平和活動には今後も取り組んでいくつもりという。「原爆投下から78年しかたっていないのに、8月6日や9日が何の日か知らない人もいる。世界には原爆の惨状を知らない人がたくさんいるはず。このままだと100年後、200年後どうなるか容易に想像がつく。それが怖くてしかたない」と危機感を募らせる。
 「今から20年後か30年後、私たちの世代が政治の中心になったとき、せめて日本の人たちだけでも核廃絶の意識をしっかり持ち、唯一の被爆国として世界に訴えていかなければならない」と語る。
 大会後は、医師になるという目標に向けて受験勉強に励む毎日。「ドイツ人の父とは英語で会話する。将来、海外で原爆の惨状を伝え、日本と世界の平和の架け橋になれたら」。そんなことも考えている。


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