心と体に悩み6割超 県が初の「ケアラー」実態調査 女性に偏る負担浮き彫り

栃木県庁

 栃木県は4日、家族の介護や世話を担う「ケアラー」を対象に実施した初の実態調査の結果を公表した。高齢者、障害者のケアラーともに、自身が抱えている悩みについては「自分の心と体の健康」が6割以上で最多だった。ケアラーのうち女性は7割以上を占め、負担が女性に偏っている現状も浮き彫りになった。県は調査結果を分析し、本年度内に策定するケアラー支援に向けた推進計画に生かす方針。

 同日県庁で開かれた県ケアラー支援推進協議会の会合で報告された。調査は6~7月、地域包括支援センターなどを利用するケアラー約1200人を対象に実施。高齢者のケアラー324人、障害者のケアラー181人が回答した。

 年代別では高齢者のケアラーは50~64歳が最も多く90人(28%)、次いで65~74歳が83人(26%)、75~84歳は81人(25%)だった。障害者は50~64歳が最多で70人(39%)、30~49歳が61人(34%)、65~74歳が24人(13%)と続いた。

 性別では女性が多く、高齢者のケアラーのうち73%、障害者では84%を占めた。職業は「仕事に就いていない」が最も多かったが、「正社員」「非正規」「自営業」などの合計は高齢者が40%、障害者が53%。働きながら介護や世話をしている人が目立った。

 自身が抱えている悩み(複数回答)では「自分の心と体の健康」と回答した人が多く、高齢者63%、障害者71%だった。次いで「介護疲れやストレス」が高齢者49%、障害者51%となった。

 必要だと思う支援については、高齢者が「何でも相談できる窓口」「自分の話を聞いてくれる人」との解答が多かった。障害者は「自分がお世話をできなくなった後に代わりにお世話する人の確保」が目立った。

 サービスでは高齢者、障害者ともに「緊急時でも安心して預かってくれる場所」が多く挙がった。

 調査結果を受け、同協議会会長の大石剛史(おおいしたけし)国際医療福祉大准教授は「高齢者と障害者のケアラーで求める支援内容が違うことが分かった。今後の支援策づくりの参考にしたい」と語った。

© 株式会社下野新聞社