FCV実験車『LMPH2G』がWEC富士で日本初公開。トヨタの水素エンジン搭載プロトタイプも登場へ

 9月4日、WEC世界耐久選手権の共同主催者であるACOフランス西部自動車クラブは、今週8日(金)から10日(日)にかけて静岡県の富士スピードウェイで開催されるWEC第6戦富士で、『LMPH2G』と『トヨタGR H2レーシング・コンセプト』の特別展示を行うと発表した。

 2012年に始まった現行シリーズでは9回目、WECの日本ラウンドとしておなじみとなっているWEC富士。トヨタの“ホームコース”で行われる今季の大会は、過去最多12台のトップカテゴリーマシンが揃うほか、LMP2とLM-GTEアマ車両のWEC富士ラストラン、スポット参戦組を含め日本人ドライバー7名のエントリー、グッドイヤー×J SPORTSのLMP2優勝予想キャンペーン実施、室屋義秀のエアショー初開催など見どころが盛りだくさんだ。

 そんな今大会に、ACOとグリーンGTが設立したジョイントベンチャー“ミッションH24”の水素燃料電池ル・マン・プロトタイプカー『LMPH2G』が登場することが決まった。

 将来のレースにおける水素利用を目的に研究・開発が行われ、ル・マンやスパ・フランコルシャンなどでたびたび走行を披露してきたこの車両は、水素と酸素を化学反応させて電気を起こし、その電気を用いてモーターで走行するFCVだ。富士にやってくるのはレプリカだが、日本では初公開となる。

 また会場ではLMPH2Gと並んで今年6月にル・マンでお披露目されたトヨタGR H2レーシング・コンセプトも展示される。このプロトタイプカーはトヨタが将来のレース投入を見越して発表したマシンであり、その心臓部にはガソリンに代わって水素を燃料とする内燃機関である水素エンジンとハイブリッドシステムが搭載されている。

 この2台のプロトタイプは、今年5月に開催された富士24時間レースにおいてACOのピエール・フィヨン会長が説明したように、2026年の耐久レースで採用される水素戦略を完璧に示したものだ。

 なお、ミッションH24のレース部門であるH24レーシングは、イモラとル・マン、ポルティマオで行われた2022年ミシュラン・ル・マン・カップでのテストプログラムが終了した現在、『LMPH2G』の後継機である『H24』のパフォーマンスをさらに向上させるための研究フェーズに入っている。昨年のプログラムではFCVプロトタイプカーにおける給水素の確認や、安全性、信頼性などのチェックが主要ポイントとなったが、ミッションH24のプロトタイプは毎回フィニッシュラインに到達することで、これらのチェックポイントがマークされている。

グリーンGT LMPH2G(左)と同H24(右)
2023年ル・マンで公開されたトヨタGR H2レーシング・コンセプト

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