【ブライトン戦 現地レポート】さらなる高みを見据える三笘薫。ニューカッスルを圧倒も淡々と、冷静に

写真:絶好のサッカー日和となったアメックススタジアム

■どこにいても目に入る日本人サポーターの姿

9月2日、イングランドでは珍しいほどの快晴のもとでプレミアリーグ第4節が行われ、ブライトンはニューカッスルと対戦した。

鉄道ストライキの影響が懸念されていたものの、さすがフットボールの本場イングランド。毎度の通りチケット完売を知らせる看板が出迎えてくれ、スタジアムはいつもどおりの賑わいを見せていた。DJが流す爆音の音楽がボルテージを上げていく中、スタジアムの外周を覆いつくすほどのサポーターが試合開始を待っていた。

写真:チケットは売り切れ

どこを歩いていても、日本人サポーターの姿が目に入る。スタジアムの外を歩いていても、併設のショップの中へ入っても、いたるところから日本語が聞こえてくる。自国の選手をきっかけに、はるばる日本から海を渡ってブライトンまで来た人も多いだろう。これほど多くの人間に足を運びたいと思わせる三笘選手の活躍、ひいてはブライトンというクラブの持つ計り知れない魅力には驚かされるばかりだ。

写真:試合前の雰囲気も「本場」を感じさせる

1時間ほど前に席へ着くと、両チームのGKがウォーミングアップを始めていた。それから15分ほどが過ぎると、フィールドプレーヤーがピッチに姿を現す。先発組と控え組に分かれてそれぞれのメニューをこなすのが定番となっており、ブライトンの先発組はポゼッション、シュート練習、最後に簡単なアジリティメニューをこなして試合開始15分前にトンネルへと消えていった。

写真:記者席からの眺め

その後、選手の入場に合わせてホームサポーターによる『Sussex by the Sea』の大合唱が行われる。この曲はサセックス州のアンセムとされており、ブライトンのホームゲームの前に流れることが定番となっている。そして定刻を迎え、試合開始を告げる笛がアメックス・スタジアムに鳴り響いた。
 

■難敵ニューカッスルを圧倒

ブライトンはこの日、リーグ屈指の難敵をホームに迎えたが、序盤から代名詞ともいえるポゼッションサッカーで主導権を握り続けた。結果は3-1の快勝。試合後のプレスカンファレンスでロベルト・デ ゼルビ監督が「私が就任してからのベストゲームの一つだ」と語るのも納得の出来だった。チームは前節ウェストハム戦での黒星から見事に立ち直り、開幕から代表ウィーク前までの4試合を3勝1敗の好成績で終えた。

この日の主役はプレミアリーグで自身初のハットトリックを記録したエヴァン・ファーガソンだった。ビリー・ギルモアの強烈なシュートのこぼれ球を見逃さずものにして口火を切ると、後半にも見事なミドルシュートを含む2得点を挙げる圧巻のパフォーマンス。わずか18歳にして達成した大記録ということもあり、これにはブライトンのX(旧Twitter)公式アカウントも「皆さん18歳の頃は何をしていましたか?」というジョークを飛ばすほどだった。

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■淡々と、でもポジティブに

写真:ミックスゾーン。三笘選手をはじめ、この日はダンク、ミルナーなどベテラン選手が中心に顔を出してくれた

試合後、ミックスゾーンに現れた三笘選手に質問が飛び交う。自分でゴールを決めたかったかという問いに対しては、「いや、全くないですね」ときっぱり。「決められたら良かったですけど、これだけ強い相手に勝ったことが一番です」

新シーズンが始まって間もない段階ではあるものの、この試合では縦へ突破し、深いところまで切り込んでいくプレーがあまり見られなかった。しかしそれも、彼にとっては想定内だったようだ。「このレベルでなかなかえぐって(突破しきる)というのは難しいところはありますし、自分の中でも選択肢をいろいろと見せながらやっているので、そこはポジティブに捉えています」

ミックスゾーンでの質問は多岐にわたり、その話題にはバルセロナからローンで加入したアンス・ファティの名前も挙がった。起用方針は明らかになっていないものの、三笘選手と同じ左サイドを主戦場とするスペイン期待の若手だ。弱冠20歳のバルセロナの10番の加入については「一緒にプレーするのが楽しみです」と共演に向けて期待を隠さず。その一方で「競争も激しくなるので、そこも楽しみですね」と定位置争いを歓迎する姿勢も見せた。

試合後アイシングをしていた左足については、ただの打撲だと話していた。9日のドイツ代表との試合に大きな影響はなさそうだ。

難敵相手の快勝にも、浮かれることなく淡々と反省点を話す三笘選手の姿が印象的だった。すでに4試合で1ゴール3アシストと目に見える結果を残しているが、きっとこれも単なる序章に過ぎないのだろう。

写真:チームの顔となっている三笘選手

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