日本はなぜ海洋放出したのか…アメリカの核関連施設に見る原発処理水の対応とは?

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。8月24日(木)放送の「New global」のコーナーでは、アメリカの原発処理水の対処法について取り上げました。

◆米核関連施設の原発処理水の対応は?

8月24日、日本は原発処理水の海洋放出を開始しました。放出前から各国さまざまな反応がありましたが、特に中国の対応は厳しく、中国の影響が強まる香港も足並みを揃えるように批判的な姿勢を見せています。しかし、韓国は尹錫悦大統領が世論をうまく抑えながらコントロールし、台湾も科学的な知見に基づき、国際的な安全基準に合致していると認めています。

一方、当事国・日本の福島県では、以前から原発処理水に関してはさまざまなオプションを検討。世界中の核関連施設を分析し、情報を発信してきました。この日は、福島県がまとめたその報告書からキャスターの堀潤がアメリカの核関連施設が処理水をどう対処してきたのか紹介しました。

まずは堀も現地を取材したことがある「スリーマイル島原発」。ここでは長い時間をかけて汚染水を蒸発させました。この案は国内でも2010年代初頭に議論されたそうですが、福島では地下水が流れ込んでいたり、冷却水が大量に必要だったりといったさまざまな理由から「蒸発で対応できるのか」が疑問視されていました。

そして、もうひとつが「ハンフォード核施設」。こちらでは処理水を地下に浸透、地中に流していく方法を選択。ただ、そのために大規模な設備を設置したそうです。

このようにさまざまな核施設の処理水の対応を研究し、日本でも蒸発させるか、地下に流すかなど検討につぐ検討が重ねられましたが、「日本では新たな規制の強化策や新たな設備の設置、予算など現実的な路線を考えると大量の水を処理するには海に流すしかないんじゃないかということで、これまで議論が重ねられてきた背景がある」と堀は現在に至る状況を解説します。

つまり、日本も何もやってこなかったわけではなく、議論を重ねてきたのですが、経済ジャーナリストの荻原博子さんはそれも理解しつつ「でも、私たちにはそういうことを説明されていないし、世界の状況も聞かされていないし。そういうことをしっかりとレクチャーしないとまずい」と指摘。

堀は「おっしゃる通り、それはすごく大事なこと」と頷きつつ、最後にメディアに関して言及。2013年、廃炉に関する団体が立ち上がった際、その初日の説明会では上記のような説明を経産省や東京電力が行い、民間、そして世界へと理解と協力を求めたものの、その日、現場にテレビカメラは1台も入っていなかったそう。堀は「なんで報道しないのか」と嘆き、「当時も憤りを感じたが、やはりまだまだ我々メディアが果たさないといけない責任はたくさんある」と話していました。

※この番組の記事一覧を見る

<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

© TOKYO MX