クアルタラロ、17番グリッドから7位。旧エアロ&昨年ベース使用の決断が奏功/第11戦カタルーニャGP

 ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)は、MotoGP第11戦カタルーニャGPの決勝レースを7位で終えた。カタルーニャGPの週末を通して苦しみ、17番グリッドスタートであったことを考えれば、決して悪い結果ではなかった。クアルタラロは、旧空力デバイスに戻して決勝レースに臨むを決断していたのだ。

 初日から苦しんでいたクアルタラロは、予選で17番手に沈み、スプリントレースでは18位に終わった。しかし、決勝レースでは、赤旗中断からの再スタート後、1周目に10番手付近に浮上すると、その後もじりじりとポジションを上げて7位でゴールした。優勝や表彰台争いには遠いが、それでも初日、土曜日の苦戦から見れば、大健闘と言っていいはずだ。

 決勝日の朝、10分間のウオームアップから、クアルタラロは2022年のベースと旧ウィングを使用していた。これが功を奏したという。

「金曜日、土曜日と、僕たちはいろいろな変更をしたんだ。コースインするたびに、違うバイク、違うセットアップ、違うウエイトを試した。そして今朝、昨年のベースで行くことにしたんだ。そうしたらフィーリングがよかったので、レースで使うことにした。いいステップだと思っているよ」

「大きなウィングを持つなら、もっとパワーを使わないといけない。小さなウィングは、特にこのサーキットではいいアイデアだ。たぶんミサノでは、大きなウィングに戻すと思う。でも、同じサーキットでエアロパッケージを比べることはすごくいいことだと思うし、ブレーキング、バンク角、エッジでどう機能しているのかというインフォメーションを得て確認できたのもよかった」

 ヤマハはイギリスGPの決勝レースから新しい空力デバイス(クアルタラロが「大きなウィング」と表現している)を投入した。このときもリヤショックやスイングアーム、リヤのセッティングなど、空力デバイス以外の部分でも様々なトライが行われていた。

 こうした状況とクアルタラロのコメントを踏まえると、ヤマハの新しい空力デバイスはすべてのサーキットで安定した走りを約束するアップデートではないが、ヤマハは新旧問わず様々なトライをしながら、苦しいなかでもクアルタラロを17番グリッドから7位でゴールさせることができるようだ。ただ、初日に遅れをとれば決勝レースに響くことは間違いなく、安定したベース──クアルタラロは今季、ヤマハの強みである旋回性が失われていると語っていた──がないことが、今季のヤマハ低迷のひとつの理由なのかもしれない。

 いずれにせよ、小さな光明を見出しながら、2024年を見据えた戦いが続くことになりそうだ。

初日、土曜日は新エアロで走行していたクアルタラロ

© 株式会社三栄