国東市の宮永さんが環境に優しい「麦ストロー」作り 就労支援へ作業発注も【大分県】

麦ストロー作りに取り組む宮永英次さん(右)と、カフェで使っている島本めぐみさん=国東市国東町
宮永英次さんが作っている麦ストローと材料の麦

 【国東】国東市国東町下成仏の宮永英次さん(74)は、自身で栽培した麦の茎を使って環境に優しいストローを作っている。洗えば何度も使用でき、無農薬で育てているため健康面の心配もない。作業の一部は市内の福祉施設に発注し、障害者の就労支援にもつなげている。

 3年前、廃プラスチックの処理が社会問題になっていると知り、「自分にできることはないか」と考えた。子どもの頃、麦の茎でホタルの籠を編んだ体験を思い出し、「茎は丈夫で空洞。ストローを作ればプラスチックを減らせる」と挑戦した。

 約5アールの畑を借りて栽培したところ、ストローとして十分使えることが分かり2年前から本格的に着手した。

 今年は5月下旬、刈り取った約6千本の茎を福祉サービス事業所・秀渓園(同市武蔵町手野)に持ち込んだ。障害者らが長さ18センチほどに裁断。宮永さんが水洗いをして、2日ほど天日干しをして完成させた。

 麦ストローは市内2カ所と豊後大野市、由布市、日出町のカフェなどに卸している。繰り返し使った後、花壇などに置けば土に返ってごみにならない。

 国東町田深で「はな珈琲(コーヒー)」を営む島本めぐみさんは「麦ストローに驚く客は多い。最近はやりの紙ストローに比べて丈夫で口当たりが良く、飲みやすいという声も聞く」という。

 宮永さんは、住民らを対象にした麦の刈り取り体験も開いている。「取り組みが環境保護を考えるきっかけになるとうれしい。自然の大切さを国東の地から発信していく」と話している。

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