インドネシア人社員寮が完成 巻き網漁業会社「天洋丸」 スパイシー料理で住民と交流 長崎・雲仙

和やかに話しながらインドネシアの食事を楽しむ参加者=雲仙市南串山町

 長崎県雲仙市南串山町の巻き網漁業会社「天洋丸」のインドネシア人社員寮「ルマ・ヌサンタラ」が同町に完成した。ルマは同国の言葉で「家」の意味。4日夕は完成を祝い、インドネシア料理のパーティーを開き、住民や社員ら約50人がスパイシーな料理を味わいながら交流した。
 同社は橘湾内で中型巻き網船団を操業し、煮干し加工用のカタクチイワシなどを取っている。船団には20人以上が必要だが、乗組員のなり手不足は深刻。同社は2017年から外国人技能実習生を受け入れている。現在はインドネシアの10~20代の8人で、このうち2人は「特定技能」の在留資格がある。
 寮は3棟目。これまでは日本人と一緒に暮らしていたが、受け入れが増えたことからインドネシア人社員寮を新設した。木造2階建て延べ約153平方メートル。個室8部屋があり、リビングダイニングにはイスラム教の礼拝スペースを設けた。完成は8月下旬。
 ヌサンタラは同国の新しい首都名。新時代を担う若者の成長を願い、安心して過ごせる家となるようにと同社が名付けた。
 パーティーの料理は、東京の料理研究家、榎本直子さんの指導で、インドネシア人の社員が、揚げチコダイの青唐辛子ソースや揚げナスといりこのトマトソース炒めなど6品を作った。
 参加者は大皿から取り分けた料理を囲み談笑した。社員はパーティーにも参加している地元の人から日本語を教えてもらっており、意思疎通もスムーズ。同町西浜地区自治会長の井上洋一さん(72)は「辛みで食欲が増した。地区の清掃に皆さんが来てくれるので自治会が活性化する」と話した。
 「特定技能」で働くディアン・アグン・プラタマさん(23)は「方言が聞き取りにくいけど、料理を食べてもらい仲良くできうれしい」と喜んだ。竹下千代太社長(59)は「寮を拠点に視野を広げ、両国の架け橋として羽ばたいてほしい」と語った。

インドネシア人向けの社員寮「ルマ・ヌサンタラ」
休日は1日5回、祈りを捧げる礼拝スペース

© 株式会社長崎新聞社