【米ビルボード・ソング・チャート】ザック・ブライアン&ケイシー・マスグレイヴス初登場1位、マイリー新曲9位デビュー

ザック・ブライアンの「アイ・リメンバー・エヴリシング feat. ケイシー・マスグレイヴス」が1位に初登場した、今週の米ビルボード・ソング・チャート。

ザック・ブライアンは、日本の沖縄で生まれてアメリカのオクラホマ州で育った現在27歳(1996年生まれ)のカントリー・シンガー。今年の5月に米テキサス州で開催された【アカデミー・オブ・カントリー・ミュージック・アワード】では<最優秀新人男性ヴォーカリスト>を受賞するなど、高い人気を獲得して急成長を遂げている。

「アイ・リメンバー・エヴリシング」は、今週のアルバム・チャート“Billboard 200”で1位に初登場した最新作『ザック・ブライアン』の11曲目(全16曲)に収録されていて、正式なシングルとしてリリースされていないにもかかわらず、高い人気を集めてHot 100史上1,154曲目、初登場では通算70曲目の首位を獲得した。

初週(8月25日~8月31日)は、ストリーミングが3,370万回、セールスは10,000を記録して、ストリーミング・ソング・チャートで1位、デジタル・ソング・セールス・チャートでは4位にそれぞれデビューした。また、ストリーミング・サービスSpotifyの人気プレイリスト「New Music Friday」でも最初に表示されていた。

正式なシングル曲ではないため、ラジオのプロモーションは行われなかったが、それでも初週は263,000回と高記録を打ち出し好発進した。なお、今週記録した263,000回のうち175,000回はカントリー局でのエアプレイが占めている。

TOP10入りは、 今年の1月21日付で最高10位を記録した「サムシング・イン・ザ・オレンジ」に続く2曲目で、首位獲得は「アイ・リメンバー・エヴリシング」が自身初のタイトルとなる。なお、「サムシング・イン・ザ・オレンジ」は2022年5月7日~2023年8月5日付まで約1年3か月、通算66週間チャートインしていて、男性ソロ・シンガーのカントリー・ソングとしては歴代最長記録を更新した。

ゲストのケイシー・マスグレイヴスは、これまで「メリー・ゴーラウンド」(2013年 / 最高63位)、「フォロー・ユア・アロウ」(2014年 / 最高60位)、「レインボー」(2019年 / 最高98位)の3曲がHot 100にチャートインしたが、TOP10入り、首位獲得いずれも「アイ・リメンバー・エヴリシング」が初のタイトルとなる。

ケイシーは、ソング・チャート“Hot 100”ではこれまで上位にランクインしなかったが、アルバム・チャート“Billboard 200”では4作がTOP5入りしていて、2019年2月に開催された【第61回グラミー賞】では『ゴールデン・アワー』が<年間最優秀アルバム>を受賞するなど、アルバムは高い評価を得ている。

「アイ・リメンバー・エヴリシング」は、カントリー・ソング・チャート、ロック&オルタナティブ・ソング・チャート、ロック・ソング・チャートでもそれぞれ1位に初登場していて、Hot 100、カントリー・ソング・チャート、ロック&オルタナティブ・ソング・チャートの3つのチャートで首位を獲得した史上初のタイトルを達成した。

ザック・ブライアンは、カントリー・ソング・チャートで6週、ロック&オルタナティブ・ソング・チャートとロック・ソング・チャートでは各20週それぞれ1位をマークした前述の「サムシング・イン・ザ・オレンジ」に続く2曲目で、ケイシー・マスグレイヴスは、3つのチャートで自身初の首位を獲得した。

Hot 100とカントリー・ソングの両チャートを制したのは、2週間前に達成したオリヴァー・アンソニー・ミュージック「リッチ・メン・ノース・オブ・リッチモンド」に続く史上24曲目で、2023年では以下の4曲が2つのチャートで1位を獲得して、史上最多記録を更新している。

ザック・ブライアン「アイ・リメンバー・エヴリシング feat. ケイシー・マスグレイヴス」(2023年)
オリヴァー・アンソニー・ミュージック「リッチ・メン・ノース・オブ・リッチモンド」(2023年)
ジェイソン・アルディーン「トライ・ザット・イン・ア・スモール・タウン」(2023年)
モーガン・ウォレン「ラスト・ナイト」(2023年)
テイラー・スウィフト「オール・トゥー・ウェル(テイラーズ・ヴァージョン)」(2021年)
テイラー・スウィフト「ウィ・アー・ネヴァー・エヴァー・ゲッティング・バック・トゥゲザー」(2012年)
ローンスター「アメイズド」(1999~2000年)
ケニー・ロジャーズ&ドリー・パートン「アイランド・イン・ザ・ストリーム」(1983年)
エディ・ラビット「恋のレイニー・ナイト」(1981年)
ドリー・パートン「9 To 5」(1981年)
ケニー・ロジャース「レイディ」(1980年)
グレン・キャンベル「哀愁の南」(1977年)
C・W・マッコール「コンボイ」(1975~76年)
ジョン・デンバー「アイム・ソーリー」(1975年)
グレン・キャンベル「ラインストーン・カウボーイ」(1975年)
ジョン・デンバー「すばらしきカントリー・ボーイ」(1975年)
フレディ・フェンダー「涙のしずく」(1975年)
B.J.トーマス「心にひびく愛の歌」(1975年)
チャーリー・リッチ「朝やけの少女」(1973年)
ボビー・ゴールズボロ「ハニー」(1968年)
ジミー・ディーン「ビッグ・バッド・ジョン」(1961年)
マーティー・ロビンス「エルパソ」(1959~60年)
ジョニー・ホートン「ニューオーリンズの戦い」(1959年)

今年2つのチャートを制した上記の4曲は、8月5日付から今週9月9日付まで連続で首位を獲得していて、カントリー・ソングが4曲連続でトップに立つというHot 100史上初の記録も達成している。

8月5日 ジェイソン・アルディーン「トライ・ザット・イン・ア・スモール・タウン」
8月12日~19日 モーガン・ウォレン「ラスト・ナイト」
8月26日~9月2日 オリヴァー・アンソニー・ミュージック「リッチ・メン・ノース・オブ・リッチモンド」
9月9日 ザック・ブライアン「アイ・リメンバー・エヴリシング feat. ケイシー・マスグレイヴス」

なお、過去には1975年にフレディ・フェンダーの「涙のしずく」(5月31日付)とジョン・デンバーの「すばらしきカントリー・ボーイ」(6月7日付)、1981年にドリー・パートンの「9 To 5」(2月21日付)とエディ・ラビットの「恋のレイニー・ナイト」(2月28日付)が、各2週連続で首位を獲得している。

4曲が連続で首位を獲得したことを含め、今年はカントリー・ソングが急成長を遂げていることがわかる。ルミネートによると、米国におけるカントリー・ソングの需要は最初の26週間で前年比の20.3%増加していて、昨年の同期間で集計した数字を2.5%上回った。

男性アーティストと女性アーティストによる楽曲がHot 100とカントリー・ソング・チャートの2つのチャートを制したのは、1983年10月29日付で首位を獲得したケニー・ロジャースとドリー・バートンの「アイランド・イン・ザ・ストリーム」以来約40年ぶり、史上2曲目のタイトルとなる。また、男性アーティストと女性アーティストの共作(他のソングライターのクレジットなし)によるデュエット曲が首位を獲得したのは、2017年12月23日付でトップに立ったエド・シーランの「パーフェクト with ビヨンセ」以来約6年ぶりとなる。

前述のとおり、「アイ・リメンバー・エヴリシング」を収録した『ザック・ブライアン』は今週のアルバム・チャート“Billboard 200”で1位に初登場していて、Billboard 200(アルバム)とHot 100(シングル)で同時に初登場1位を獲得した史上9回目の快挙を達成している。

2023年9月9日 ザック・ブライアン「アイ・リメンバー・エヴリシング」(Hot 100)、『ザック・ブライアン』(Billboard 200)
2022年11月5日 テイラー・スウィフト「アンチ・ヒーロー」(Hot 100)、『ミッドナイツ』(Billboard 200)
2022年7月2日 ドレイク「Jimmy Cooks feat.21サヴェージ」(Hot 100)、『オネストリー、ネヴァーマインド』(Billboard 200)
2022年5月14日 フューチャー「Wait for U feat. ドレイク&テムズ」(Hot 100)、『アイ・ネヴァー・ライクド・ユー』(Billboard 200)
2021年11月27日 テイラー・スウィフト「オール・トゥー・ウェル(テイラーズ・ヴァージョン)」(Hot 100)、『レッド(テイラーズ・ヴァージョン) 』(Billboard 200)
2021年9月18日 ドレイク「Way 2 Sexy feat. フューチャー&ヤング・サグ」(Hot 100)、『サーティファイド・ラヴァー・ボーイ』(Billboard 200)
2021年4月3日 ジャスティン・ビーバー「ピーチズfeat. ダニエル・シーザー&ギヴィオン」(Hot 100)、『ジャスティス』(Billboard 200)
2020年12月26日 テイラー・スウィフト「ウィロー」(Hot 100)、『エヴァーモア』(Billboard 200)
2020年12月5日 BTS「Life Goes On」(Hot 100)、『Be』(Billboard 200)
2020年8月8日 テイラー・スウィフト「カーディガン」(Hot 100)、『フォークロア』(Billboard 200)

その最新作『ザック・ブライアン』は、Billboard 200(総合)の他カントリー・アルバム・チャート、ロック&オルタナティブ・アルバム・チャート、ロック・アルバム・チャート、アメリカーナ/フォーク・アルバム・チャートでも1位を獲得して、5つのチャートを制している。

「アイ・リメンバー・エヴリシング」の発売元であるワーナー・レコードとしては、2013年にマックルモア&ライアン・ルイスの「スリフト・ショップ feat. ワンズ」(6週)と「キャント・ホールド・アス」(5週)が2曲連続で達成して以来、約10年ぶりの首位獲得で、2019年にワーナー・ブラザース・レコード(Warner Bros. Records)からワーナー・レコード(Warner Records)に名称を変更してからは、初のNo.1タイトルとなる。なお、同レーベルで初めて首位を獲得したのは、エヴァリー・ブラザースの「キャシーズ・クラウン」(1960年5月)だった。

また、ワーナー・レコードとの独占ライセンス契約によるBelting Broncoとしては、「アイ・リメンバー・エヴリシング」が初の首位を獲得した。

タイトルに「リメンバー(Remember)」が含まれる曲としては、1994年に最高2位を記録したマドンナの「アイル・リメンバー」を上回り史上初の首位を獲得。「エヴリシング(everything)」が含まれる曲としては以下に続く史上9曲目のNo.1タイトルに輝いた。

ザック・ブライアン「アイ・リメンバー・エヴリシング feat. ケイシー・マスグレイヴス」(2023年)
ピットブル「ギヴ・ミー・エヴリシング feat. ニーヨ、アフロジャック&ネイヤー」(2011年)
ヴァーティカル・ホライズン「エヴリシング・ユー・ウォント」(2000年)
ブライアン・アダムス「アイ・ドゥ・イット・フォー・ユー」(1991年)
トミー・ペイジ「アイル・ビー・ユア・エヴリシング」(1990年)
ワム!「恋のかけき(Everything She Wants)」(1985年)
アンディ・ギブ「恋のときめき(I Just Want Be Your Everything)」(1977年)
レイ・スティーヴンス「みんなビューティフル(Everything Is Beautiful)」(1970年)
ザ・バーズ「ターン・ターン・ターン(Turn! Turn! Turn! (To Everything There Is a Season))」(1965年)

1位に初登場した 「アイ・リメンバー・エヴリシング」に続き、今週は2位もカントリー・シンガーのルーク・コムズによる「ファスト・カー」が8週連続で同位をキープ。エアプレイ・チャートでは、今週7,880万回を記録して2位から1位に上昇し、カントリー・エアプレイ・チャートと2冠を制した。

エアプレイ・チャート(総合)とカントリー・エアプレイ・チャートで首位を獲得したのは、1990年に集計が始まって以来通算5曲目で、2020年にギャビー・バレットの「アイ・ホープ feat. チャーリー・プース」が達成して以来、約3年ぶりのタイトルとなる。

ルーク・コムズ「ファスト・カー」(2023年 / 1週)
ギャビー・バレット「アイ・ホープ feat. チャーリー・プース」(2020年 / 1週)
フロリダ・ジョージア・ライン&ビービー・レクサ「メント・トゥ・ビー」 (2018年 / 5週)
レディ・A(レディ・アンテベラム)「ニード・ユー・ナウ」(2010年 / 2週)
テイラー・スウィフト「ユー・ビロング・ウィズ・ミー」(2009年 / 2週)

「ファスト・カー」は、女性シンガーソングライターのトレイシー・チャップマンが1988年にリリースした同名曲のカバーで、トレイシー・チャップマンは1996年に「ギヴ・ミー・ワン・リーズン」がエアプレイ・チャートで最高2位を記録したが、首位獲得は今週が初の快挙となる。

先週5位にTOP10入りしたドージャ・キャットの新曲「ペイント・ザ・タウン・レッド」は、今週3位に上昇して最高位を更新。エアプレイは25%増加の2,820万回を記録して、その週最も伸びた曲に贈られるAirplay Gainerを獲得した。また、R&B/ヒップホップ・ソング・チャートとラップ・ソング・チャートでは、それぞれ2週目の首位を獲得している。

モーガン・ウォレン「ラスト・ナイト」は3位から4位、テイラー・スウィフトの「クルーエル・サマー」も4位から5位にワンランクダウンして、初登場から2週連続で首位を獲得したオリヴァー・アンソニー・ミュージックの「リッチ・メン・ノース・オブ・リッチモンド」は、今週6位に大きく順位を下げた。

「リッチ・メン・ノース・オブ・リッチモンド」は、デジタル・ソング・セールス・チャートで3週目の首位を獲得しているが、売上は前週から71%減少の34,000に落ち込み、ストリーミングも8%減少の2,120万回に下降した。一方、エアプレイは7%増加の240万回に上昇している。

7位は、シザの「スヌーズ」が先週の11位から順位を上げて2週ぶりのTOP10入りと最高位を更新している。8月25日にミュージック・ビデオが公開されたことでストリーミングが64%増加の1,730万回に上昇し、今週のStreaming Gainerを獲得。R&Bソング・チャートでは7週目の首位をマークした。

続いて今週8位には、8月25日にリリースしたマイリー・サイラスの新曲「ユースト・トゥ・ビー・ヤング」が初登場して、以下に続く12曲目のTOP10入りを果たしている。

10位「シー・ユー・アゲイン」(2008年)
9位「7シングス」(2008年)
4位「ザ・クライム」(2009年)
10位「彼なのかもしれない」(2009年)
2位「パーティー・イン・ザ・U.S.A」(2009年)
8位「キャント・ビー・テイムド」(2010年)
2位「ウィ・キャント・ストップ」(2013年)
1位「レッキング・ボール」(2013年)
10位「マリブ」(2017年)
8位「ウィズアウト・ユー with ザ・キッド・ラロイ」(2021年)
1位「フラワーズ」(2023年)
8位「ユースト・トゥ・ビー・ヤング」(2023年)

「ユースト・トゥ・ビー・ヤング」は、今週の集計期間 (8月25日~8月31日)にエアプレイが2,590万回、ストリーミングが1,780万回、セールスは19,000を記録して、エアプレイ・チャートで19位、ストリーミング・ソング・チャートで9位、デジタル・ソング・セールス・チャートでは2位にそれぞれデビューした。エアプレイ・チャートでのTOP20入りは、1月に18位で初登場した「フラワーズ」(通算18週1位)に続く今年2曲目のランクインとなる。

以下、デュア・リパの「ダンス・ザ・ナイト」が9位をキープして、ガンナの「FukUMean」は7位から10位にダウンした。

Text: 本家 一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは9月8日以降掲載予定となります。

◎【Hot 100】トップ10
1位「アイ・リメンバー・エヴリシング」ザック・ブライアン feat. ケイシー・マスグレイヴス
2位「ファスト・カー」ルーク・コムズ
3位「ペイント・ザ・タウン・レッド」ドージャ・キャット
4位「ラスト・ナイト」モーガン・ウォレン
5位「クルーエル・サマー」テイラー・スウィフト
6位「リッチ・メン・ノース・オブ・リッチモンド」オリヴァー・アンソニー・ミュージック
7位「スヌーズ」シザ
8位「ユースト・トゥ・ビー・ヤング」マイリー・サイラス
9位「ダンス・ザ・ナイト」デュア・リパ
10位「FukUMean」ガンナ

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