「涼宮ハルヒ」原作、青葉真司被告が小説家目指したきっかけに 「金字塔」自作タイトルも新たに判明

青葉真司被告

 36人が死亡、32人が重軽傷を負った2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人や現住建造物等放火など五つの罪に問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第2回公判が6日、京都地裁(増田啓祐裁判長)で開かれた。検察側が提出した証拠から、青葉被告が小説家を目指したのは、京アニの代表作「涼宮ハルヒ」シリーズの原作小説に感銘を受けたのがきっかけだったことが新たに分かった。

 アニメの「涼宮ハルヒ」シリーズは、06年からテレビ放映が始まった京アニが誇るヒット作。自由奔放な主人公の少女とその仲間たちの学園生活を描いている。

 検察側の証拠によると、「涼宮ハルヒ」の原作小説に感銘を受けた青葉被告は、「SF」「軍事」「学園もの」のジャンルでライトノベルを執筆するようになった。

 2016年~17年に「ナカノトモミの事件簿」、「リアリスティックウエポン」とタイトルをつけた2作品を「京都アニメーション大賞」に応募し、いずれも落選した。青葉被告にとって、これらは通算10年をかけた渾身(こんしん)の力作であり、金字塔だったという。

 落選した2作品の内容は今のところ判然としないが、検察側が読み上げた青葉被告の母親の供述調書によると、母親は青葉被告から「女子高生がキャピキャピしている小説を書いている」と聞かされていたという。

 起訴状によると、青葉被告は2019年7月18日午前10時半ごろ、京都市伏見区の京アニ第1スタジオに正面玄関から侵入し、ガソリンを社員に浴びせてライターで火を付けて建物を全焼させ、屋内にいた社員70人のうち36人を殺害、32人に重軽傷を負わせた、などとしている。

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