シンガポール金融管理庁(MAS、中央銀行に相当)が6日に発表した最新の民間エコノミスト調査で、2023年の実質国内総生産(GDP)成長率の予測値は中央値で前年比1.0%となり、6月の前回調査から0.4ポイント低下した。製造業が低迷すると予想するエコノミストが増えた。
金融管理庁は四半期ごとに民間エコノミストに調査を実施。今回は8月15日に調査票を送り、エコノミストやアナリスト25人から回答を得た。
GDP成長率の予想値を業種別に見ると、製造業の予想中央値がマイナス4.4%となり、前回調査のマイナス1.3%から下げ幅が拡大した。最も悲観的な予測では、マイナス5.5%とするエコノミストもいた。
金融・保険の予想中央値は前回調査の1.3%から0.7%に低下した。ホテル・飲食業(8.8%)や建設(6.8%)は高い成長率が見込まれるが、いずれも前回調査の予想値を下回った。
製造業の不振に伴い、輸出額(NODX、石油と再輸出除く)も減少する見通しだ。23年通年の輸出額の伸び率の予想値は、中央値で前年比でマイナス10.5%。前回調査のマイナス5.5%から下落幅が拡大した。
今後のシンガポール経済の下振れリスクとしては、「世界経済の成長鈍化」を挙げる人が69%で最も多かった。「インフレ」は50%、「中国経済の動向」は44%だった。
一方、上振れ要因では「外需拡大」が60%となった。「中国経済の成長」は47%、「テクノロジー製品の需要サイクル」は33%だった。
24年の経済成長率の予想値は中央値で2.5%となった。消費者物価指数(CPI)の上昇率は3.1%、コアインフレ率は2.8%だった。