北海道・知床半島沖の観光船「KAZU 1（カズワン）」沈没事故で、運輸安全委員会は7日、最終的な調査報告書を公表した。船首付近のハッチが確実に閉鎖されないまま出航し、悪天候でふたが開いて浸水したことが原因で、運航会社「知床遊覧船」の安全管理体制の欠如が重大な影響を与えたと指摘。国や関係機関の監査・検査の実効性にも問題があったとした。
20人が死亡、6人が行方不明になった事故の原因究明と再発防止に向け、発生から約1年半をかけた調査が終了した。
報告書によると、知床遊覧船の社長（60）は新型コロナ禍の影響で経費節減を優先し、経験豊富な乗組員らを雇い止めにしていた。船に関する知識や経験がなく、21年には資格要件を満たさないのに自ら安全統括管理者や運航管理者に就任。同社には安全管理体制が存在しない状態だった。
船長＝当時（54）＝も経験不足で、出航してはならない気象状況なのに出航した。
国土交通省北海道運輸局は知床遊覧船が21年に事故を起こした際に特別監査を実施。だが不備を把握できなかった。
