損害…病院の元理事らに1億720万円の損賠命令 必要以上の過大報酬、業者に支払う「病院の利益を犠牲に」

さいたま地裁=さいたま市浦和区高砂

 病院の新設に係る建設用地の取得に関して、仲介した宅地建物取引業者に過大な報酬を支払っていたとして、埼玉医療生活協同組合羽生総合病院(現医療法人徳洲会羽生総合病院、埼玉県羽生市)が当時の中川和喜代表理事や大川啓二事務部長、松本裕史院長に対して過払い分の約1億2060万円の支払いを求めた損害賠償請求訴訟の判決が6日、さいたま地裁であり、関根規夫裁判長は原告の請求をほぼ認め、被告らに約1億720万円などの支払いを命じた。

 判決理由で関根裁判長は、宅建業者の報酬額とされていた約1億2060万円について、宅地建物取引業法で定められている報酬金額を超えているとした上で、「(中川元代表理事らが)同院の利益を犠牲にして宅建業者の利益を図ったというべきで、善管注意義務違反または忠実義務違反を認めるのが相当」と指摘。一方で宅建業者が実際に業務を行っているなどとして、規定の報酬額を差し引いた約1億720万円を本来同院側が支払う必要のなかった金額として認定した。

 訴状などによると、原告は病院の新設に係る建設用地の取得の際、仲介業務を行う宅建業者に対して当時原告で代表理事などを務めていた被告らが必要な理事会決議を経ず、宅建業法に定める報酬の上限規定を超える金額を支払い原告へ損害を与えたとして、中川氏らに対して過払い分の支払いを求めて2019年に提訴していた。

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