企業や自治体で活用広がるメタバース市場 2030年に約78兆円に

インターネット上に広がる仮想空間、いわゆるメタバースが熱を帯びています。ひとたびイベントが開催されれば会場は多くの参加者で賑わうなど、多くの企業がその集客力に目を付け、参入をはじめています。

輪投げや射的といった「日本の祭り」が表現されたメタバースの空間。このイベントは大手印刷企業の凸版印刷が、日本の文化を海外に発信する目的で、今年初めて開催されました。作成されたCG空間は、凸版印刷が培ってきた精細な画像のデータ処理技術や形状を正確にデジタル化する技術が使われています。担当者は、今後のメタバース市場に期待を寄せます。

凸版印刷 小林さん:「(メタバースは)市場はすごくばかでかいものなってきています。(メタバースは)CGで作られた空間になりますと、このCGも1つの絵を書くのと一緒で、こういった技術っていうところの作業技術は我々も長年やってきておりますので、そういったところで強みが出せるんじゃないかなと思っています」

このイベントは1か月ほどで約5000人が参加し、凸版印刷は今後も規模を拡大して続けていきたいとしています。

今年7月に秋葉原で開催された、世界最大級のメタバースイベント。ここにも多くの人が訪れていました。イベントには名産品をPRしようと自治体も参加し、メタバースならではの集客力に期待したいと話していました。

焼津市 ふるさと納税課 山下課長:「市の認知度を高めていこう、シティープロモーションということでその一環として、メタバースという新しい技術を使って自治体としてもPRしていきたい」

このイベントは2日間で約4万人が来場、主催者の予想の4倍という大盛況となりました。

なぜ今、メタバース市場が勢いを増しているのでしょうか。メタバースを開発し、企業のコンサルティングを行うメタバース総研は…

メタバース総研 今泉社長:「背景にある変化が、以前からの技術進化とコロナでの巣ごもり需要が重なって、メタバースの活用が非常に進んだかなと考えております」

総務省によりますと、メタバースの世界市場は2021年には388億ドル、日本円で4兆2540億円だったものが、2030年には6788億ドル、78兆8705億円まで拡大すると予想されているということです。世界的に熱を帯びるメタバース市場、この流れを商機と捉え、事業の参入を早めた企業もあります。

三越伊勢丹 杉井さん:「コロナウィルスの影響で人々の生活がかなり大きく変わって、もっと早くアプリのサービスを出して、お客様に活用していただいた方がいいというふうに考えて、開発をかなりギュッと狭めた」

大手百貨店の三越伊勢丹は、コロナ禍というメタバース市場への追い風を受けながら急ピッチで開発を進め、一昨年アプリをリリースしました。メタバース空間でありながら、実際の店員もアバターとして登場するなど、実際の店舗で買い物する時と同じ感覚で商品を購入することができます。

三越伊勢丹 杉井さん:「ファッションの未来を考えたときにも、メタバースにすごく可能性を感じて。デジタルの良さ、それはどこからでもアクセスができて、24時間お買い物ができたり、すごくポテンシャルを感じている」

コロナ禍と技術の進歩が相まって、急速なスピードで広がりをみせるメタバース市場、今後のさらなる進化に注目です。

© TOKYO MX