自転車盗難、青森県内で急増 1~8月402件、既に昨年超え 県警、施錠徹底を呼びかけ

駅周辺の駐輪場で自転車の盗難被害が目立っている=5日、青森市柳川1丁目

 今年、青森県内で自転車の盗難被害が急増している。1月から8月末までの発生件数は402件で、既に2020~22年それぞれの年間認知件数を上回った。主に鉄道の駅、商業施設の駐輪場が狙われている。盗まれた自転車の8割に当たる325件は無施錠。県警は「油断は大敵」として、施錠の徹底を呼びかけている。

 県警捜査支援分析課によると、近年の自転車盗の認知件数は2019年485件(無施錠率74%)、20年380件(同76%)、21年299件(同73%)、22年336件(同77%)。

 今年、県内の駅周辺で被害に遭ったのは8月末時点で103件、昨年は年間通して90件。ショッピングセンターやスーパーマーケットなど商業施設周辺は今年70件、昨年53件だった。盗まれた自転車の所有者は10~20代が目立ち、通学に使用する自転車を盗まれたとみられる。

 県警がウェブサイトで公開している「犯罪オープンデータ」によると、過去5年間の発生場所は、青森駅周辺の青森市柳川1丁目での被害が突出しており計132件。次いで弘前大学周辺の弘前市文京町が計77件。弘前駅に近く商業施設もある同市駅前町は50件、弘前駅周辺の同市表町は46件だった。

 自転車盗を含む県内の刑法犯認知件数は今年急増しており、県警は、コロナ禍での行動制限が緩和されたことが要因とみている。自転車盗は転売や乗り捨てが目的とされるとし「(自転車盗が)犯罪という認識が希薄」であることや「駐輪場付近に防犯カメラが付いていないケースが多い」と指摘する。

 県警生活安全企画課の佐藤伸一次長は「(犯人は)鍵をかけなくても大丈夫だろうという心の隙をついてくる。自転車に鍵を二つ付ける二重ロックをしてほしい」と話した。

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