2023年8月15日(金)、宮島の民俗行事の四宮神社祭「たのもさん」が開催されます。
古くから島全体が「神の島」と呼ばれてきた宮島には、さまざまな禁忌がありました。
たとえば農耕や機織りといった産業にかかわるものから、島内でのお産、そして島内にお墓を作ることなど、人の人生に大きく関わる事柄まで。
農耕が禁止されていたので、もちろん農業や稲作の神様であるお稲荷様を祀ることも禁止されていました。
そんな宮島の人々がどのように農作物を手に入れたのかというと、島の対岸にある大野の農家に分けてもらっていたのだとか。
作物への感謝の気持ちが、「たのもさん」で対岸の大野町のお稲荷様に向けて流される小船「たのも船」です。
団子のお人形・おはぎ・果物・さい銭などをのせて対岸へ流し、感謝の気持ちを伝えたのです。
この民俗行事は毎年旧暦の8月1日、つまり「八朔」の日に開催されます。
八朔とは、徳川家康が江戸城に初めて入った日として武士がお祝いをした日としてよく知られますが、稲の収穫を前に豊作を願う日で、各地で稲の初穂を神様にお供えする穂掛けの儀礼が行われました。
農作物に関わる儀式の日であることや、潮・風など海の状態を考慮してこの日に行われるようになったと考えられています。
写真はイメージです
たのもさんの当日は、町内の人々が「たのも船」を持って紅葉谷公園内の四宮神社に集まり、お祓いを受けます。
お祓いが終わると、嚴島神社の火焼前や御笠浜・西松原の海辺から流されます。
かがり火やちょうちんが灯ったたくさんの「たのも船」が海に浮かぶ風景は秋の宮島の風物詩です。
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