外苑再開発、イコモスが撤回要求 東京都と事業者に

再開発計画に揺れる東京・明治神宮外苑地区。左奥から国立競技場、解体が進む神宮第二球場、神宮球場、秩父宮ラグビー場が並ぶ。右下はイチョウ並木=6月

 東京・明治神宮外苑の再開発事業を巡り、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)は7日、文化的資産が危機に直面しているとして、緊急要請「ヘリテージ・アラート」を出し、事業者や認可した東京都に計画の撤回などを求めた。

 イコモスは、神宮外苑を「市民の献金と労働奉仕によりつくり出された、世界の公園史でも類例のない文化的遺産だ」と指摘。計画による伐採本数は約3千本に上り、100年にわたり育まれてきた森は破壊されるとしている。

 その上で三井不動産や明治神宮などの事業者に対し、事業の撤回を要求。都には都市計画決定の見直しや、環境影響評価(アセスメント)の再審を求めた。

 事業者代表の三井不動産は、取材に「内容を確認中でありコメントしかねる」と回答した。

 再開発では、老朽化した神宮球場と秩父宮ラグビー場を、場所を入れ替えて新築し、高層ビル2棟を建てる。今年3月に神宮第二球場の解体工事が始まっており、全体の工事完了は2036年の見込み。

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