補聴器の購入助成検討 弘前市と西目屋村

 加齢で耳が聞こえにくくなった人たちが社会から孤立したり、認知症を発症するのを防ごうと、青森県弘前市と西目屋村が補聴器の購入費の一部助成を検討していることが7日分かった。導入されれば県内自治体で初。

 弘前市の出﨑和夫副市長は同日の市議会一般質問で、蒔苗博英議員(創和・公明)の質問に「補聴器を使えば会話が円滑になり、自立した生活を続けられる。『健康都市弘前』の理念とも合う」と強調。「国による助成が望ましいが、市として何ができるか検討したい」と答えた。

 西目屋村では来年度から所得などに応じて2万~4万円を助成する予定。村住民課の三上学課長は東奥日報の取材に「助成すれば村の支出は増えるが、認知症になる人が減れば介護保険費の削減になるはず」と話した。

 市などによると、障害者認定を受けた重度の難聴者や18歳未満の難聴者へは、国などによる補聴器購入助成があるが、お年寄りに多い中・軽度難聴への助成制度はない。国認定の専門店では、補聴器が両耳で10万円以上と高価なこともあり、国の調査では中・軽度難聴者の7割以上が使用していないという。

 購入費助成のある市町村は全国で約1割とされ、青森県はゼロ。助成額は購入費の2分の1以内で、聴力レベルに応じ2万~3万円を補助する場合が多いという。

 相手の話が聞き取りにくいと意思疎通がうまくできず、周囲の人たちとのコミュニケーションが減少。認知症の引き金になるとされる。「加齢性難聴は認知症を発症する最大の危険因子」との研究論文もある。

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