奈良美智さんの原風景へ、故郷・青森県で個展 県立美術館、10月14日から

 青森市の県立美術館(杉本康雄館長)は7日、弘前市出身の現代美術家・奈良美智さんの個展「The Beginning Place ここから」(東奥日報社などでつくる実行委員会主催)を、10月14日から同美術館で開催すると発表した。初期の作品から新作まで約200点を集め、来年2月25日まで約4カ月間のロングラン。展示はタイトルの通り故郷を強く意識した内容となる予定で、杉本館長は「(奈良さんの原風景となっている)雪が降る冬の時期にも作品を体験してもらえれば」と呼びかけた。

 奈良さんの個展は、弘前市の吉井酒造煉瓦(れんが)倉庫(現弘前れんが倉庫美術館)などで開かれた2002年の国内巡回展を皮切りに、06年までに同倉庫で断続的に開催。県立美術館では、12年10月~13年1月に開かれた全国巡回展「君や 僕に ちょっと似ている」以来約10年ぶりの開催となる。

 今回の展示は東日本大震災以降の作品にスポットを当てながらも、40年以上に及ぶ創作活動に通底する営みを紹介。「家」「積層の時空」「旅」「NO WAR」「ロック喫茶『33 1/3』と小さな共同体」の五つのテーマで構成する。

 握りこぶし大の粘土の原型を2メートル強に拡大して制作した新作「Ennui Head」、20年以上ぶりの展覧会出品となる初期のアクリル画「Merry-Go-Round」といった作品の展示のほか、奈良さんが弘前高在学中に建設に携わった弘前市のロック喫茶「JAIL HOUSE 33 1/3」(1980年代に閉店)の店舗を再現する取り組みも行う。

 関連企画として、奈良さんのトークイベントを開幕日の10月14日に県立美術館、12月17日にむつ市のむつ来さまい館で実施予定。問い合わせは県立美術館(電話017-783-3000)へ。

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