「瓦の魅力を伝えたい」創業133年を誇る屋根業者のコンセプトカフェが提供「最中ジェラート」【しずおか産】

<野田栞里記者>
「いただきます。パリパリの最中がジェラートによく合ってとっても美味しいです。この黒い最中は『瓦』をイメージしているんです」

【写真を見る】「瓦の魅力を伝えたい」創業133年を誇る屋根業者のコンセプトカフェが提供「最中ジェラート」【しずおか産】

2023年3月、浜松市にオープンした「gramme(グラム)」、築56年の空き家をリノベーションしてカフェにしました。コンセプトは「瓦」です。

<常連客>
「瓦は良いと思います。着物を着ているので、どうしても和の物に惹かれちゃうんですよね。瓦なんだ!って、通りかかった時になんだろうって興味をひきやすいですよね」

店のロゴは、「瓦」の文字が重さの単位、「グラム」を表すことに、ちなんだデザインです。

<男の子>
「(ぱりっ)おいしい!」

看板メニューは「最中ジェラート」。瓦をイメージした特注の皿に竹炭で瓦の色を再現した最中を添えています。最中はオーブンで炙って、香ばしさが引き立つように仕上げています。

<常連客>
「キウイとかあんこも美味しくて、混ぜて一緒に食べるとおいしかったです」

旬のフルーツと浜松産のあんこ、そして、白砂糖を使わないジェラートを神戸の専門店から取り寄せています。

カフェを経営するのは、柳本茉希さん。浜松市で創業133年を誇る屋根業者の6代目です。

<gramme 柳本茉希さん>
「こちら今は資材置き場なんですけど、平成の初期まで瓦を作って、乾かして、窯があって焼いていました」

静岡県西部地区で作られる瓦は、遠州瓦の名で高い評価を得ています。柳本産業は2022年、浜松城の屋根の修理も手がけました。

<柳本茉希さん>
「こちらは瓦の小屋になるのでご覧ください。こちらが、もともとはここで瓦の粘土をこねて瓦を成形する場所だったんですけど、今はその時に作っていたもので、残っているものを展示するスペースで…」
Q.瓦は好きですか?
「大好きですね。時代背景があったり、鬼瓦一つにしても職人によって表情が違ったりするので面白いなと、家を守るものだなと思います」

柳本さんは瓦の市場は、ここ30年で9割ほど減っているといいます。瓦の魅力を伝えたい。「gramme」には、そんな柳本さんの思いがありました。

<柳本茉希さん>
「家を建てるとか屋根の修理をするっていうのは一生の中でも数度しかチャンスがなくって。でもカフェだと、お茶をする、食事をするっていうのは1日に、食事なら3回チャンスがあるので、食と結びつけることによって色々な方と接点を持つ機会が多くなるだろうと考えて、カフェにしました」

予約制で鬼瓦造りを体験できるワークショップも開催しています。

「gramme」は、命を育む食べ物を味わいながら、命を守る住まい・暮らしを考えられる空間です。

<柳本茉希さん>
「屋根のことで困っているから相談してもいいみたいなことを言ってくださる方がいたりとか、普通に来ておいしくお茶を飲んでおしゃべりして帰っていくお客さんもいて、衣食住がここに来ると、良いものにしようみたいな気持ちになると良いなと思っています」

© 静岡放送株式会社