バニャイア、カタルーニャGP重大アクシデントの状況を説明。「WUPラップでリヤグリップが“ゼロ”だった」

 MotoGP第11戦カタルーニャGPの決勝レースでハイサイドを起こして転倒、他ライダーと接触して病院に運ばれたフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)が、第12戦サンマリノGP木曜日のプレ・プレスカンファレンスに出席。怪我の具合とアクシデントが発生したときの様子を語った。

 カタルーニャGP決勝レースの1周目にアクシデントは起こった。1コーナーで多重クラッシュが発生した直後、2コーナー立ち上がりでトップを走っていたバニャイアがハイサイド転倒し、コース上に投げ出された。このとき後ろを走っていたブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)のマシンが、避けきれずにバニャイアの足を乗り越える形で接触した。

 バニャイアはメディカルセンター、そして病院へと運ばれ、怪我の具合が心配されたが、幸いなことにチームからは骨折はない、と発表されていた。

 そのアクシデントから4日後、バニャイアはサンマリノGP木曜日に行われたプレ・プレスカンファレンスに姿を現した。アクシデント後にMotoGP.comが公開していた映像では、病院から出てきたバニャイアは松葉杖をついていたが、この日、バニャイアの手には松葉杖はなかった。

 バニャイアによれば、主な負傷は足だったという。

「最も大きな怪我はビンダーに衝撃を受けた右ひざだ。ひざに大きな血種があり、それが足の下のほうまで続いている。足を動かすのは問題になるかもしれないが、どうなるかはわからない」

「(2コーナー立ち上がりでは)今までいちばん長いスライドだと感じたよ。終わらなかった。そして大きなハイサイドが起こるところでフロントが跳ね始めた。ランチ(バレンティーノ・ロッシが所有するダートトラックコース)では、だいたい毎回こんな感じだよ。だから大きなジャンプに備えたんだ」

「それから空中に投げ出され、頭から落ち、エアバッグが開いたのがわかった。地面にぶつかってひどい衝撃があったけど、アルパインスターズの腰のプロテクションがあったので、おかげで助かったよ。そしてコース上で転がっているときにすべてのバイクの音を聞き、見ていた。KTMが僕の足の上を通過したのが見えた。もうこれ以上誰も僕に接触しないでくれと、ただそれだけを願っていた」

「この状況をコントロールしたのは、主に(バニャイアの直後を走っていた)ホルヘ(・マルティン)とブラッドだったと思う。彼らは素晴らしい仕事をした。彼らは最初に僕のところに接近したライダーだ。ラッキーな状況だったよ。僕は毎秒、状況を理解していた」

 そしてバニャイアは、カタルーニャGP決勝レースで──予兆はすでにスタート前からあったという──何が起こっていたのかを説明した。主に言及されていたのはリヤグリップだ。これについては上述のMotoGP.comの映像で、病院から出てきた直後のバニャイアもコメントしていたところだ。

「ウオームアップ・ラップから感じていたマシンのフィーリングは、リヤのグリップがゼロというものだった。ウオームアップ・ラップで3回、3、9、12コーナーでクラッシュしかけたよ。攻めてもいないのにね」と、バニャイアは説明する。

「1コーナーで、すでにリヤを失っていた。映像を見るとホルヘが(1コーナーで)かなりブレーキをかけねばならず、そのため2コーナーでギャップがあったんだ。そしてバイクをバンクさせて少しスロットルを開けた瞬間に、完全にリヤグリップを失った」

 バニャイアによれば、「電子制御サイド、メカニカルサイド、ライディング面、全てにおいてミスはなかった」という。本人はあの転倒について「おかしなクラッシュだった」と疑問を抱いているようだった。現在はミシュランの分析を待っている状況、ということだ。

 あれほどの大きなアクシデントであったことを考えれば、幸運ともいうべき怪我ですんだ、と言っていいだろう。負傷を抱えた状態であるバニャイアだが、ホームグランプリであるサンマリノGPでも引き続き、上位を目指して戦うと意気込みを見せていた。

会見の前に笑顔を見せるバニャイア。元気な姿でサンマリノGPにやってきた

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