秋本衆院議員逮捕 青森県中泊町の洋上風力計画の先行き危ぶむ声も 町長は「状況変わってない」

日本風力開発などが洋上風力発電所の建設を予定している中泊町の権現崎(小泊岬)周辺=7日午後

 洋上風力発電事業の国会質問の見返りなどとして、日本風力開発側から賄賂を受け取ったとして秋本真利衆院議員=自民党を離党、比例南関東=が逮捕された7日、同社と共同で洋上風力発電計画を進めている青森県中泊町の町民からは、計画への影響を危惧する声が聞かれた。同社は8月中をめどに発電事業を行う特別目的会社(SPC)を設立し、町が参画する予定だったが、今も実現していない。濱舘豊光町長は取材に「(東京地検)特捜(部)が調べている内容と(小泊漁港の洋上風力発電計画)は全くの別問題。(建設へ向けた)状況は変わっていない」と語った。

 町は今年5月、日本風力開発と共同で小泊漁港区域内に洋上風力発電所を建設する計画を発表。7月下旬には両者と小泊漁協、下前漁協などでつくるSPCの社名も「ミラスタイル」に決めていた。秋本議員逮捕の洋上風力発電事業への影響について、濱舘町長は「(前社長の)塚脇(正幸)さんとではなく、(日本風力開発という)会社との話だ」「町の状況は変わっていないし、会社側も何も決められていない状況だから、どうこう言う立場にない」と語った。町総合戦略課の越野進一課長は、今後逮捕の影響がどう出てくるのか見守る-とした上で「地域活性化のため、できることなら実現していただきたい」と話した。

 下前漁協組合員の70代男性は「もう日本風力開発では(洋上風力は)できないだろう。他の業者で進めるしかないのでは」と困惑顔。下前地区の70代の女性は「中泊の風力の印象が悪くなる」と眉をひそめた。

 一方、同地区の60代男性は「(中泊の洋上風力は)今回の事件とは別。同じ会社がやっても問題ない」。小泊漁協組合員の60代男性は「魚も取れないし、後継ぎもいない。小泊は手詰まり状態だ。実施する会社がどうこうより、風力発電がなしにならなければいい」と語った。

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