【MLB】エンゼルスからジオリトら獲得のガーディアンズ 予想外の補強も遠のくポストシーズン

写真:エンゼルス戦でサヨナラ打を打たれたクラセ

8月29日(日本時間30日)、今季を諦めたエンゼルスが6人の主力選手を一気にウェーバーにかけるという動きに出た。ポストシーズンに出場する選手は9月1日までにロースターに登録されていなければならないため、ポストシーズン争いをしている球団にとってはエンゼルス含め各球団からウェーバーにかけられた選手は最後の補強機会だった。

結果としてエンゼルスの6人のうち5人が移籍することになったのだが、そのうちルーカス・ジオリト、レイナルド・ロペス、マット・ムーアの3人を一気に獲得したのがガーディアンズだった。ウェーバーはその時点で勝率の低い順に獲得の優先権があり、8月31日時点で勝率が下から12番目だったガーディアンズが獲得できたことには驚きはない。しかし、そもそもガーディアンズが獲得に動いたこと自体は驚きだった。

ガーディアンズが所属するア・リーグ中地区は全体的に勝率が低く、ポストシーズン進出を狙うのなら地区優勝しかないという状況。ガーディアンズは当時地区首位のツインズから5ゲーム差の2位だった。逆転優勝の可能性がないわけではないが、ガーディアンズは8月1日のトレード期限までにアーロン・シバーリ、ジョシュ・ベル、アメッド・ロサリオら主力選手を放出する「売り手」に回っていた球団。1ヶ月近くたって優勝の可能性がさらに遠のいている中で3人も選手を獲得するというのは意外だ。

一方でガーディアンズは低コストが信条の球団でもある。主力選手を価値が高いうちにトレードに出し、若手有望株を獲得し再び主力に育て上げるという手法を続けてきている。そんなガーディアンズにとっては、最後の1ヶ月程度のサラリーを支払うだけで、有望株の見返りなどなしに獲得できる主力級ウェーバー選手は魅力的に映ったのだろう。

これは大きなリスクのある賭けではなかったが、少なくともウェーバー選手獲得から1週間経った現在、この補強は功を奏していない。ロペスは3試合に登板して無失点と好投しているが、ムーアは3試合中2試合で失点。特に今日のエンゼルス戦では逆転サヨナラ負けしているだけにムーアの1失点は痛かった。

さらに最も誤算だったのはジオリトだ。エンゼルスで結果を残せずに慣れ親しんだア・リーグ中地区に戻ってきて、登板したのも同じく中地区のツインズ戦。この試合はガーディアンズにとって最も大事な首位との直接対決だったが、ジオリトが3回9失点と大炎上したことで初戦を落とし、結果としてシリーズは1勝2敗の負け越しに終わった。

ウェーバー選手獲得時点で首位から5ゲーム差だったのに対し、現在は6.5ゲーム差にまで拡大。この時期にゲーム差が拡大すればもはや逆転優勝は困難で、データサイト『FanGraphs』が算出するポストシーズンの進出確率は、今日エンゼルスに逆転サヨナラ負けしたことで1.4%にまで低下している。

ただ、ツインズの優勝が決まるまで結末はわからない。ガーディアンズとしてはこのエンゼルス4連戦で巻き返しを図るしかないだろう。初戦は落としたが、9月9日の第3戦ではジオリトの先発が予定されている。新加入選手らはここからガーディアンズの逆転優勝に貢献できるだろうか。

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