不登校の要因に「社交不安症」 吃音の中高生、九大研究

 話し言葉が滑らかに出ない発話障害である吃音の中高生が不登校になる要因の一つに、他人に見られている状況などでの会話に苦痛を伴う「社交不安症」の併発があると、九州大病院助教らのグループが8日、学会誌に発表した。生まれ持った体質が原因とされる吃音は2~4歳の発症が多く、不登校との関係をデータで裏付けた。

 同病院耳鼻咽喉・頭頸部外科菊池良和助教らが、吃音の不登校状態の生徒とそうではない生徒に分け比較。「教室で発表する」といった24項目に恐怖や不安を感じるかを4段階で尋ねたところ、不登校の生徒は社交不安の尺度が約1.5倍高く、不登校の一因になっていることを確認した。

 吃音の生徒の発話に関連する10項目も調査。社交不安症でない生徒に比べ「人前で話すと手足の震え」「吃音が出た後に、気持ちが落ち込む」が多いことが判明した。

 自らも吃音がある菊池助教は「中学生以降の支援はほぼないのが現状だ」と問題視。「小学生の時期から周囲の理解など、社交不安症や不登校への予防活動が欠かせない」と話している。

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