越前打刃物の振興施設「越前千代鶴の館」(福井県越前市池ノ上町)にあるドリンク自動販売機で、購入時に伝統工芸士の打刃物職人2人が歌う童謡「村の鍛冶屋」が流れるサービスが9月8日、始まった。ぼくとつとした歌声が癒やしを届けている。
自販機の自動音声機能を生かして来館者に産地の情緒を感じてもらおうと、越前打刃物産地協同組合連合会が企画。職人の中で歌い手を探していたところ、清水正治さん(82)と加藤弘さん(81)のベテラン2人に白羽の矢が立ち、7月に収録が行われた。
「しばしも休まず つち打つひびき」で始まる歌詞は、刃物作りに励む職人のひたむきさを伝える内容。購入すると、80代の“職人デュオ”による素朴な歌声が響く。同市武生南小の児童による歌声のサービスが6月から既に導入されており、児童と職人のバージョンが交互に流れるようになった。
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「村の鍛冶屋」について「小さいころから歌っていた懐かしい曲。おやじの時代を思い出す」と加藤さん。2人は幼なじみで、間奏には小学時代の思い出を振り返る「語り」も入っている。清水さんは「来た人に少しでも楽しんでもらえたらいい」と顔をほころばせていた。
同連合会は「『村の鍛冶屋』で職人にエールを送ってほしい」と、追加バージョンで歌声を提供してくれる人も募集している。